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「第2回鉄道技術展・大阪2026」(主催・産経新聞社)で行われた特別講演「鉄道業界の課題と未来」では、JR東日本代表取締役副社長・イノベーション戦略本部長の池田裕彦氏と、JR西日本理事・鉄道本部副本部長・イノベーション本部長の田淵剛氏(6月18日付でJR西日本レールテック代表取締役社長就任予定)による技術部門のトップ対談が実現した。
両氏は、水素社会への対応や自動運転・BRT(バス高速輸送システム)の取り組み、老朽化する鉄道インフラの修繕などを巡って意見を交わした。人口減少で担い手不足が深刻化する中、両氏は鉄道の持続可能性を高めるため、事業者やメーカーの枠を超えた連携の必要性を強調した。
芦谷氏は「次に水素の供給、利活用、水素燃料電池車による鉄道のGX(グリーントランスフォーメーション)についての連携を議題にしたいと思います」と提起した。
JR西・田淵氏は「JR西日本は、水素のプラットフォームになりたいと考え、2、3年前から各沿線の自治体とか、水素に関する技術にたけた企業と連携しながら、国の補助金を活用しつつ、フィジビリティスタディを進めてきました」と説明した。
JR東・池田氏は「水素社会を実現するうえで作る、運ぶ、使う、の3フェーズがあります。私たちは使うフェーズのところを一生懸命やってきました。燃料電池で走る「HYBARI」という水素ハイブリッド電車ですとか、高輪ゲートウェイシティを中心として運行している水素のシャトルバスは燃料電池を使うソリューションを実装したものです。それとは別に川崎火力発電所という自前の火力発電所を持っておりまして、燃料は以前は重油、今はLNGに切り替えて、LNGに水素を入れる水素混焼、将来的には水素の専焼で発電できないか検討しています。使うフェーズでは、高輪ゲートウェイシティの地下に水素の燃料電池を設置する予定です。高市政権が掲げる次世代クリーンエネルギー「フュージョンエネルギー(核融合発電)」で、膨大な水素を作れる可能性がある。水素が安定して供給されることによって、こういった水素社会が実現されるかもしれないと期待しています」と述べた。
芦谷氏は「自動運転、BRT(バス高速輸送システム)などでの連携について教えてください」と質問した。
JR東・池田氏は「今年の5月から、自動運転レベル4走行を実施しています。気仙沼線の専用道(柳津駅~水尻川アプローチ)の区間だけですが、専用道であるため最高速度60キロまで出す自動運転を実施しているところです。距離については日本最長の15キロ強です。実用化されれば、これから人口が減ってドライバーもいなくなるような地方においてもこういったモビリティを提供できるんだという理想像を描けると思います」と答えた。
JR西・田淵氏は「東広島市において自動運転・隊列走行BRTの実証実験を行っています。2027年度中ぐらいには自動運転レベル4の認可が取れるとみています。地方の関係者との意見交換で、専用道のインフラ整備にかなり税金、資金がかかるという声が多く、2025年度からは公道で実験を行っています」と報告した。
芦谷氏は「鉄道の未来においてどういう連携があるかについてご意見をお聞かせください」と尋ねた。
JR東・池田氏は「JR東日本の新幹線は、2031年度から大規模な改修工事、修繕を行うことになっています。それも夜間作業でやらなければならず、従事する作業者をどうやって集めるかが大きな課題となっています。40年、50年たったインフラをまた50年使い続けるために、新しい修繕方法や補強方法を取り入れなければならないと思っています。おそらく自前だけではやりきれないところがあるので、さまざまな事業者、メーカーの知見や新しい発想、アイデアなどを生かしながら、さらに50年先の鉄道を運行が実現できるように協力していきたいと考えています」と述べ、JR西・田淵氏は「これからは顧客起点に立った鉄道輸送サービスを目指していきたいと思います。そのためには、経済的価値だけでなく、社会的な価値も生んでいかなくてはいけない。個社でやるのではなくて、こういった連携の取り組みをもっと広げていく必要があります。個社ができた最高のパフォーマンスを他社に展開していくことができれば、国内での鉄道が持続可能な世界になるのではないかと思います。さらには、そういった日本の最高のパフォーマンスが海外でのビジネス展開にもつながると思います」と応じた。最後に芦谷氏は「これまでの技術革新を踏まえつつ、これから業界全体で連携して日本の鉄道技術を発展させていくという力強いご意見を伺いました。この議論が鉄道業界全体の連携の第一歩となってくれることを心から祈念します」と締めくくった。