
東京・南青山の街に、かつての賑わいが戻ってきた。アメリカンフードとホームメイドパイで親しまれる「アンナミラーズ」が2月13日、約3年半の空白期間を経て待望の再オープンを果たしたのである。開店当日は用意されたメニューが次々と完売し、予定より3時間も早く営業を終了せざるを得ないほどの盛況ぶりを見せた。この異例の事態は、ブランドが持つ根強い人気を改めて証明する形となった。
今回の復活劇を支えるのは、三重県津市に本拠を置く井村屋フードサービスだ。同社は「あずきバー」で知られる井村屋グループが、2025年10月に飲食事業を分社化して新たに設立した事業会社である。グループの戦略的な組織再編を経て、伝統あるブランドの再生に踏み切った。新体制のもとで、多くのファンが待ち望んだ伝統の味が再び実店舗で提供されることになった。
アンナミラーズの歴史は、1973年にまで遡る。当時の社長であった井村二郎氏が、渡航先でこのレストランに出会ったことが日本進出のきっかけとなった。同年、東京・青山に1号店をオープンさせると、独特の制服やアメリカンスタイルのメニューが大きな話題を呼んだ。一時は関東圏を中心に店舗網を広げたが、2012年以降は高輪店が唯一の拠点として営業を続けていた。
その高輪店も、決して不採算で幕を閉じたわけではない。品川駅前の大規模な再開発に伴う立ち退き要請を受け、2022年8月に惜しまれつつ閉店した経緯がある。当時は閉店を惜しむファンが連日長蛇の列を作り、週末には数時間待ちという状況が続いていた。黒字を維持しながらも場所を失った店舗の復活は、ブランドにとって長年の悲願であったと言える。
店舗がない期間も、ブランドの灯が消えることはなかった。井村屋側はオンラインショップでのパイ販売や駅構内での催事出店を継続し、ファンとの接点を維持してきた。しかし、グルメサイトや公式窓口には実店舗の復活を熱望する声が絶え間なく寄せられていたという。こうしたファンの並々ならぬ熱量が、今回の南青山での再出発を後押しする最大の原動力となった。