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大成建設は31日、大阪市中央区本町の御堂筋沿いに、自社開発の脱炭素型コンクリート「T-eConcrete(ティーコンクリート)」を使った複合ビルを完成させた。かつて社内で必ずしも重視されなかった技術だが、脱炭素の潮流の中で存在感を増し、大成建設は大通りのビルでの活用を通じてPRし、自前の環境技術の売り込みを進める。
施設名は「ユイノート本町」。自社ビルと隣接する学校法人「相愛学園」の施設を一体的に建て替え、地上14階建てのホテル棟と、学校とオフィスが入る地上26階建ての高層棟の2棟で構成される。
一般的なコンクリートは主成分のセメントの製造過程で大量のCO2を排出するが、ティーコンクリートは別の結合成分を使い、セメントの利用を抑えたり避けたりする。今回の建物には、工場などから排出されたCO2を含んだ炭酸カルシウムを骨材などに使って封じ込め、排出量を実質的にマイナスにする「カーボンリサイクル」タイプを採用した。
今後はビルの修繕などの過程でも脱炭素化を進め、部材調達から解体までの「ライフサイクル」全体で、通常のビルより40%のCO2排出削減を目指す。
ティーコンクリートは2013年に開発されていた技術だ。ただ担当者は「当時社内では重要視されず、世の中で『欲しい』という人もいなかった」と振り返る。脱炭素の機運はなく、会社からは「本格的な導入は30年ごろ」と伝えられていた。
潮目が変わったのは20年、当時の菅義偉首相が打ち出した「2050年カーボンニュートラル」宣言だ。50年にCO2排出量実質ゼロを目指すもので、官民を挙げた脱炭素運動が起きた。
翌21年にカーボンリサイクルタイプを発表すると、外部から問い合わせが100件ほど殺到。「会社で『要らない』と言っていた人たちから『30年とか言ってないで、すぐにやれ』と指示が出た」(担当者)といい、製品開発が進んだ。
以降、ティーコンクリートは下水道施設のトンネルの構造物など公共工事でも採用を伸ばし、25年度までに累計約2万5000立方メートル、100件弱の建築・土木工事で使用された。
ただ円安に伴う資材高などで建設費が高騰する中、環境配慮性能を付与した分のコスト高は課題だ。大量受注やさらなる技術開発による価格低下が必須となる。ゼネコン大手では鹿島の「CO2-SUICOM(スイコム)」や清水建設の「DACコート」など各社も脱炭素コンクリート技術を高めており、競合は多い。
また中東情勢をめぐり、エネルギー安定確保のため石炭火力が緊急的に積極活用されるなど、国内の「カーボンニュートラル」の機運は打ち出された時期より失速している。ただ産業界では中長期的に脱炭素化は避けられないとの見方は大きく、大成建設は需要拡大を見越して拡販を進める考えだ。(織田淳嗣)