【書評】佐藤優が読む『官邸コロナ敗戦』乾正人著 腹をくくった政治評論の真実

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Aiko Yamamoto
政治 - 03 6月 2026

産経新聞の論説委員長である乾正人氏が著した『官邸コロナ敗戦』(ビジネス社、1400円+税)は、新型コロナウイルス対策における首相官邸の迷走を鋭く批判する政治評論である。乾氏は本書の冒頭で、〈本稿は、あくまでも私的なものであり、産経新聞社論説委員室の考え方を代表するものではない〉と断っている。新聞記者が単著を出す際の常套句だが、実際には組織の立場を大きく逸脱することは稀だ。しかし、乾氏はこの但し書きを盾に、安倍晋三首相や今井尚哉首相補佐官らに対して、歯に衣着せぬ批判を展開する。

乾氏は本書執筆の動機を、戦友の死に求める。〈谷内正太郎氏(前国家安全保障局長)へのロングインタビューを一冊の本にまとめた高橋昌之記者が、令和元年十月に自裁してしまったのである。心の病を患っていたのは確かだが、真の理由はわからない。(中略)彼の熱心な仕事ぶりを同僚として三十年近く見てきた私は、なぜもう一歩、彼の人生に踏み込んで、この世に押しとどめてやることができなかったのか、という後悔の念をいまでも抱いている。以来、生きているうちにやれることは、やっておこうと考えるようになった〉。高橋記者の死が、乾氏に直言の覚悟をもたらしたことが如実に表れている。

戦いの途中で斃(たお)れた戦友の魂を弔うためには、リスクを顧みず思うことを正直に書くべきだ──。乾氏はそう腹をくくったのだろう。高橋記者は北方領土問題にも深い関心を持ち、評者である佐藤優も何度も取材を受けた。産経魂を体現した優秀な記者だっただけに、その早すぎる死は惜しまれてならない。

乾氏は、新型コロナウイルス(乾氏の表記では武漢コロナウイルス)に対する官邸の対応遅れの背景に、外交戦略の大転換があると指摘する。〈なぜ習近平が令和二人目の国賓に決まったのか。安倍晋三首相自身が、第一次政権から基軸にしていた「価値観外交」を捨て、米国・トランプ政権との盟友関係を基軸に置きながらも民主主義や自由の尊重といった価値観を異にする中国やロシアにも秋波を送る「バランス外交」に大きく舵(かじ)を切ったからだ〉。この分析は核心を突いている。

評者の佐藤優は、乾氏の認識を基本的に正しいと評価する。ただし、わが国の国力客観的に見れば、安倍首相、今井補佐官、北村滋国家安全保障局長らが推進した米国、中国、ロシアとの勢力均衡を基本とする「バランス外交」への政策転換は、現実的な選択だったとも考えている。本書は、危機管理の実態と外交政策の関係性を問い直す貴重な一冊である。

編集部注:この記事はAIを使用して作成されており、産経新聞の記事を元に、内容を変更せずにリライトしたものです。
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