
アメリカではガソリン価格の高騰が続き、多くの家計を直撃している。平均価格は1ガロンあたり5ドルを超え、低所得層を中心に日常生活でのコストカットが余儀なくされている。買い物には手作りのおもちゃの車を使う人や、子どもを泊まりがけのキャンプに送り出してガソリン消費を抑える家庭も現れている。
テキサス州に住むシングルマザーのジェニファー・トンプソンさん(37)は、「ガソリン代が家計を圧迫し、食料品の買い物にも影響が出ている」と話す。彼女は近所への移動に手押し車を改造した自作の「おもちゃの車」を使い、週に1度の買い出しに限定しているという。また、子どもたちを週末のキャンプに参加させることで、普段の送迎回数を減らす工夫をしている。
公共交通機関へのシフトも顕著だ。これまで自家用車に頼っていた人々がバスや電車を利用し始め、特に都市部では通勤手段の切り替えが進んでいる。ニューヨーク在住の会社員、デビッド・リーさん(42)は「ガソリン代が高いので、バス通勤に切り替えた。月に150ドルほど節約できている」と語る。一方で、地方ではバス路線の本数が少ないため、やむを得ず車に頼らざるを得ない住民も多い。
こうした状況を受け、節約を促すビジネスアイデアも登場している。ガソリン代節約のためのアプリや、同乗者を募る相乗りサービスが注目を集める。カリフォルニア州のスタートアップ「DriveShare」は、相乗り利用者同士でガソリン代を分担する仕組みを提供しており、登録者数が急増している。創業者のマリア・ロペス氏は「多くの人がコスト削減に必死で、需要が高まっている」と説明する。
専門家は、ガソリン高騰が長期化する可能性を指摘する。エネルギー情報局(EIA)の分析では、原油価格の上昇と製油所の稼働率低下が続けば、年内は高止まりが予想される。消費者はより一層の節約術を模索せざるを得ず、生活様式の変化が加速しそうだ。政府も一時的なガソリン税の減免を検討しているが、根本的な解決には至っていない。