t>

スマートフォンの通信網は日本の人口の99%以上をカバーするが、地球上ではわずか約20%のエリアにしか届いていない。未開の海や山岳地帯で広がる「圏外」の課題を解決すべく、シャープが衛星通信事業に本格参入する方針を固めた。同社は2035年までに、衛星通信関連の売上高を1000億円に引き上げる壮大な目標を掲げている。
シャープは長年培ってきた液晶やカメラ技術に加え、衛星通信端末の小型化・低価格化に強みを持つ。同社は従来、スマートフォン向け部品で成長してきたが、市場の成熟を受け、次の成長軸として衛星通信に着目。2025年度中にプロトタイプとなる超小型衛星通信用端末を開発し、まずは船舶や遠隔地のインフラ監視向けに販売を開始する計画だ。
具体的には、米通信企業と協業し、低軌道衛星を活用したデータ通信サービスを提供する。シャープが得意とする薄型アンテナ技術やエネルギー管理システムを組み合わせ、従来の衛星電話よりも高速で安価な通信を実現する。同社は「端末の価格を従来の10分の1に抑え、月額料金もスマホ並みにする」と説明している。
市場規模は2030年には約5兆円に成長するとの試算もあり、シャープは海外の新興衛星通信事業者や既存の通信キャリアとの差別化を図る。同社の強みは、量産技術と家電製品で培ったユーザーインターフェースのノウハウ。アプリを通じて簡単に衛星と接続できる操作性が、一般ユーザーへの普及の鍵となる。
シャープは「スマホの次は衛星」と位置づけ、2035年にはグループ全体の売上高の1割を衛星事業が占めることを目指す。競合にはSpaceXのスターリンクやアマゾンのProject Kuiperなどがいるが、シャープは日本企業ならではの信頼性と、量産によるコスト競争力で勝負する。実現すれば、日本の宇宙ビジネスの新たな道を切り開くことになる。