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北アフリカのスペイン飛び地領セウタで7月末、モロッコ側から移民約6万人が流入したことを受け、欧州連合(EU)は今月4日に緊急閣僚会合をオンラインで開くことを決めた。流入の背景を巡っては、モロッコが移民を外交上の圧力手段として利用したとの見方が強まっている。
セウタは地中海に面するスペインの自治都市で、モロッコはかつて領有権を主張したが、現在は両国が国境をそれぞれ管理している。スペイン政府関係者は「事前情報があれば、こんな事態にはならなかった」と述べ、モロッコ側から国境沿いへの若者集結について一切連絡がなかったことを認めた。
スペインの報道によると、若者たちは事前にトラックでモロッコ側の国境付近に集まったが、モロッコの国境警備隊は制止しなかったという。また、「国境が開放される」とのメッセージが交流サイト(SNS)で拡散されたとの情報もある。
スペイン政府は1日までに、流入した移民のほぼ全員がモロッコに戻ったと発表した。サンチェス首相はモロッコとの協力関係を強調しているが、左派の連立与党からは「モロッコが危機を作った」と非難する声が上がっている。
背景には、サンチェス首相が7月20日、モロッコと領土問題で対立するアルジェリアを4年ぶりに訪問したことがあるとみられる。移民流入が加速した30日はモロッコ国王モハメド6世の即位記念日に当たり、スペイン紙ムンドは論説で「モロッコがスペインの主権に移民圧力をかけた」と主張した。
こうした見方が広がる背景には、セウタで2021年にも同様の移民流入騒ぎがあったことがある。この時はスペインが西サハラ独立派指導者の入院を受け入れたことが引き金となった。西サハラは旧スペイン領で、モロッコが領有権を主張する一方、アルジェリアは独立派を支援してきた。
EUでは他にも、移民が国境への揺さぶりに使われた事例がある。ロシアが2022年にウクライナ侵略を開始する数カ月前、親露国のベラルーシが中東からの移民数千人を集めて隣接するポーランドに押し付け、国境情勢を不安定化させた。今月4日のEU緊急会合はスペインの移民政策に不満を示すイタリアとデンマークの呼びかけで実現した。両国は不法移民追放に向けた制度作りを推進するが、スペインは不法残留者50万人に就労許可を与える計画を発表しており、EU内で溝が深まっている。