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2026年3月、マツダ『CX-80』が商品改良を受けた。いわゆるマイナーチェンジだが、マツダはそれを「商品改良」と呼び、ほぼ毎年のように実施するのが慣例だ。
今回の変更は、商品ラインナップの見直しやマツダコネクトの操作性改善、静粛性の向上、安全性のさらなる向上などが含まれるが、走って確かめられる改良点は静粛性以外にはほとんどない。しかし自動車メーカーは、目に見えない変更や顕著な変更以外はニュースとして発信しないことが多く、実際に乗ってみて初めて「あれっ?」と気づくことが多い。今回もその例に漏れず、「あれっ?」があった。
CX-80のデビューは2024年。まだ2年しか経っていないが、最初の商品改良が今回というわけである。
改めて使ってみると、やはりサイズの大きさは気になる。U字の白線が引かれたパーキングスペースに駐車する場合、白線内に収めるのはぎりぎりだ。全幅1890mmは日本では最大級と感じる。全長4990mmも同様で、路駐用の白枠線に入れるのもぎりぎりである。
ただし、これが通常の運転に支障を来すかというと、感じ方によるだろうが、個人的には全く気にならない。確かにサイズはあるが、見切りは悪くないし、車庫入れのようなケースでも、ダッシュセンターに設置されたカメラ機能が大いに威力を発揮し、困ることはなかった。
基本的にドライブトレーンは2列シートの『CX-60』と同じなので、本来ネガ要素があれば同じ症状が出るはずだと思っていた。CX-60は昨年暮れに改良を受け、さらに今年3月にもCX-80と同様の改良を受けている。
筆者がCX-60を最後にドライブしたのは、そのちょうど間、つまり2026年1月である。その時感じたのは、多くの部分で改善が見られたものの、トランスミッションから発せられる「ゴー」あるいは「ザザザザ」に近い不快なノイズだった。だが、CX-80ではそれが全く感じられなかった。
理由の一つとして考えられるのは気温である。CX-60でも冷間時に特に顕著で、クルマが温まるとその音は小さくなっていたが、今回はそれが全く感じられない。温度という要素だけでなく、このノイズのネガ潰しが半年の間に行われた可能性もある。これが「あれっ?」その1である。
次に、このクルマの2つ目のネガであった乗り心地のフラット感の少なさについて。元々ハンドリング優先(と個人的に思っている)の乗り味を重視するマツダだから、相反する要素である乗り心地については多少目をつぶるべきだと思うが、今回は特に指摘するほど、あるいは目くじらを立てるほどの感じ方ではなかった。
そのサイズゆえに高速道路では元々豪華クルーザーのように快適で、ゆったりした感覚を味わえる。ただ、荒れた路面でのドタつき感はどうしても感じるものの、その分のハンドリングの良さや運動性能の高さで相殺される。
トランスミッションのぎくしゃく感は基本的に消えている。ただし、低速時の変速のスムーズさはあと一息改善が欲しい。具体的には、時速10~20km以下の極低速でアクセルをオンオフしなければならないケースでは、クルマが1速を選ぶか2速を選ぶか迷うことがあり、その際に動きのスムーズさが失われる。かなりアクセル操作に気を使う必要があり、そうした状況では運転に神経を使う場面が多かった。
今回は多様なシーンでの使い勝手を体験できた。大の大人5人が乗車するケースでは、3列目を一つ使い、2列目に二人掛けでゆったり過ごしてもらう(お客様なので)必要があった。そんな際、3列目の折りたたみや戻しが楽で、使い勝手の良さを実感できた。荷物もあったため3列目を折りたたむ必要があったが、一つだけを起こしておけば長尺物の収納も楽だった。
高速道路の移動が多く、今回は800km以上を走破したが、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)を駆使すればとにかく安楽で疲れ知らずの移動ができる。
クルマに対する感じ方は個人差があって当然だ。走りの質も、求めるものが違えば評価は分かれる。スタイリング、乗り心地、使い勝手いずれもそうだが、おそらく誰もが共通して「良くない」と指摘するであろう部分は、ナビの音声案内とインフォメーションを伝えるAI女性の訛りがひどいことだ。これは何とか標準語で喋ってもらいたいものである。
いずれにせよ、乗るたびに熟成が進みクルマがよくなっていることを感じさせる。あと一歩のところまで来ている。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)
AJAJ会員・自動車技術会会員・東京都医師会「高齢社会における運転技能および運転環境検討委員会」委員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来48年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。最近はテレビ東京の「開運なんでも鑑定団」という番組で自動車関係出品の鑑定士としても活躍中。