
ヤマハ発動機は2025年5月、新型スクーター「ファツィオ」を国内市場に投入した。同車は原付二種(排気量125ccクラス)に分類され、主に都市部の若年層をターゲットに据えている。注目すべきはインドネシアからの完全輸入モデルである点で、国内生産ではなく海外拠点を活用した低価格戦略が背景にある。
ファツィオの最大の特徴は、レトロなデザインと現代的な機能性の融合だ。クラシカルな丸目ヘッドライトやボディラインに、スマートフォン連動のパワーアシスト機能や着せ替え可能な外装パネルを採用。ユーザーが自分好みにカスタマイズできる仕組みが、若者の自己表現欲求を刺激する。
ヤマハがインドネシアからの輸入に踏み切った理由は、同国における125ccスクーターの生産コストの低さにある。為替の円安も追い風となり、国内生産よりも約2割安い価格設定を実現。これにより、従来は高価格帯だった原付二種スクーターを、手の届きやすいゾーンに引き下げた。
原付二種市場は近年、若者の二輪離れが進む中で減少傾向にある。だが免許取得が容易な原付二種は、車と違い駐車場代が安いなど都市部での利便性が高い。ヤマハは「ファツィオ」で新たな需要を開拓し、若年層のライフスタイルに合わせた移動手段を提供したい考えだ。
同社の担当者は「デザインと機能で若者の心をつかみ、原付二種の魅力を再発見してほしい」と語る。ファツィオの投入は、小型二輪市場の活性化につながる可能性がある。価格は約35万円からで、2025年内に年間3万台の販売を目指す。
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