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海洋研究開発機構の分析により、南鳥島(東京都小笠原村)周辺の排他的経済水域(EEZ)の深海底から採取されたレアアース泥が、ハイテク産業に不可欠な「中重レアアース」を豊富に含むことが24日、明らかになった。単に採掘可能なだけでなく、高品質な国産資源としての価値を実物で示した形だ。
南鳥島沖のレアアース泥には三つの大きな利点がある。一般的な大型鉱山では産出するレアアースのうち数%にとどまる中重レアアースが半分以上を占めた。有害物質や放射性物質の含有量は自然界に通常存在する程度で、安全性にも優れる。さらに、泥状であるため鉱石を破砕する工程が不要となり、コスト面でも有利だ。
レアアースは微量の添加で製品性能を大幅に向上させることから「産業のビタミン」と呼ばれる。分析で最も多く検出されたイットリウムは光学ガラス、ジスプロシウムは電気自動車(EV)用モーターの磁石、ネオジムは自動車やロボット、風力発電などに不可欠で、幅広い産業を支える。
米地質調査所の統計によれば、中国はレアアース全体の世界埋蔵量の約6割、鉱石生産量の約7割を占め、日本もその供給に依存してきた。その脆弱性が露呈したのが、2010年の尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件だ。日本向け輸出が事実上停止し、価格が急騰。その後も中国は輸出管理を強化し、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の石井正一プログラムディレクターによれば、イットリウムの欧州での価格はこの1年で約140倍に高騰した。
国や企業は調達先の多角化、備蓄、リサイクルや代替技術の開発を進めているが、石井氏によれば日本のレアアース輸入に占める中国の割合は依然6割強、中重レアアースでは9割以上に及ぶ。だからこそ、国産供給が数%でもリスク分散に貢献できると石井氏は強調する。自国のEEZに供給源があれば、中国の影響力を抑える保険となる。
ただし、今回採取した泥は限られた範囲の約50トンにすぎず、調査海域全体の含有量や採算性は未確定だ。来年2月からの本格試験では1日当たり350トンの採取を目標に、現地での脱水、本土への輸送、分離・精製・製錬までを検証する。石井氏は「産業的規模の展開が見えてきた」と期待を寄せる。国産レアアースの夢は、現実の供給源へ一歩近づいたと言える。(伊藤壽一郎)