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G7サミットの舞台で、高市早苗首相は各国首脳と堂々と渡り合った。外交の場で発せられる言葉は明快そのものだが、視線を国内に移すと、そこには別の顔がある。いわゆる「中傷動画疑惑」をめぐる国会答弁だ。
疑惑の真偽は、いまだ確定していない。昨年の自民党総裁選と今年の衆院選で、首相の陣営が対立候補を中傷する動画を生成AIで作成し、拡散したと報じられた。首相自身は依頼を否定しており、事実関係の最終判断は今後の検証を待つほかない。ただし、総裁選で標的とされたのが、同じ自民党の候補だった点は見逃せない。保守内部の対立は先鋭化し、手段も荒れている。
この問題で何度も問われたのは、疑惑に向き合う首相の振る舞いだ。5月までは「私も秘書も面識はない」と言い切っていたが、その後、秘書が動画作成者とされる男性側とのオンライン会議に出席していた事実が判明。首相は過去の答弁を訂正せざるを得なくなった。
その理由について首相は「深夜から朝にかけて秘書に電話をかけ続け、確認した」と釈明した。一国の宰相が、真夜中に書面の確認も経ず、電話一本で国会答弁を組み立てていたのである。これでは、国会という公の場での発言が、どれほど手探りで行われているのか疑念が残る。
首相が使命を果たすためには、まずこうした自らの「疑念」を自らの手で拭い去る必要がある。外交の舞台で見せた明晰さを、内政の場でも示さなければ、国民の信頼はいつまでも揺れ続けるだろう。