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「充電器を変えたら、なぜか充電が遅くなった」。そんな経験、最近の中国メーカー製スマートフォンを使っている方なら一度はあるのではないだろうか。かつてはメーカー純正の充電器でなければ、高速充電の恩恵を受けられないのが当たり前だった。ところが、ここに来てその常識が大きく変わろうとしている。鍵を握るのは「USB PPS(Programmable Power Supply)」という充電規格だ。
USB PPSは、すでに広く普及しているUSB Power Delivery(USB PD)の拡張仕様の一つ。充電器とスマートフォンがリアルタイムで通信しながら電圧や電流を細かく調整できるため、発熱を抑えつつ高効率かつ高出力の充電を実現する。当初はサムスン電子のGalaxyシリーズが「超急速充電」として採用するにとどまっていたが、今では中国メーカー各社が相次いで対応。スマートフォン向けの事実上の“万能規格”として急速に普及している。
日本市場でも対応機種が増えている。例えばOPPOはフラッグシップの「Find X9/X9 Ultra」やミッドレンジの「Reno11 A」が55W、最新の「Reno13 A」や「A3 Pro 5G」は45WのUSB PPSに対応。Xiaomiは「Xiaomi 17T Pro」「POCO F8 Pro」などが最大100W、「Xiaomi 17 Ultra」が90Wと、ハイパワーな急速充電を汎用規格で利用できる。またnubiaは「Z80 Ultra」や「REDMAGIC 11シリーズ」で80Wに対応。さらにGalaxyやGoogle PixelもUSB PPSベースで、それぞれ最大60W(一部機種)、45Wまでの急速充電をサポートしている。
興味深いのは、ソニーやシャープ、FCNTといった国内メーカーの動きだ。製品スペック表には「USB PD対応」とだけ書かれ、PPSの文字はなかなか出てこない。しかし実態を調べると、ソニーのXperia 1 VIIは純正アダプターの説明にPPSが明記され、市販のPPS充電器で約30Wの充電が可能。シャープのAQUOS R9 proもドコモやソフトバンクの製品サイトでは「USB PPS対応」と記載されている。FCNTのarrows Alphaは最大90W(USB PD 3.0)としながら、動作確認済み充電器の条件に「PPS対応で出力100W以上」を掲げており、実質的にPPSが必要な設計だ。
結局のところ、日本の正規販売ルートで手に入るAndroidスマートフォンの多くは、メーカーごとに異なる名称で呼ばれている急速充電機能の実体が、USB PPSに統合されつつある。モトローラのように独自規格を前面に出しているメーカーも、付属充電器をテストすると最大100WのUSB PPSに準拠しているケースが多い。つまり、PPS対応と明記されたサードパーティー製の充電器を一本持っておけば、機種を選ばずに効率よく急速充電できる時代が、もうすぐそこまで来ているのだ。