
教員の働き方改革やウェルビーイング実現に向け、職員室など学校施設の環境改善が注目されている。従来の個別デスクの配置や書類の山を解消し、オフィスデザインの最新知見を取り入れることで、教員同士のコミュニケーションが活性化し、業務効率が向上する可能性がある。特に、活動内容に応じて働く場所を選ぶ「ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)」の考え方が、学校現場にどのように応用できるかが鍵となる。
オフィス家具大手のオカムラが運営するワークデザイン研究所への取材によると、ABWの導入で職員室内の「場の選択肢」が増えることが重要だという。例えば、集中作業用のブース、気軽に相談できるソファエリア、打ち合わせ用のホワイトボード付きスペースなどを配置することで、教員はその時々のタスクに最適な環境を選べるようになる。これにより、無駄な移動や待ち時間が減り、生産性が向上する。
研究所の担当者は「学校の職員室は、かつてのオフィスと同じように固定席が当たり前だった。しかし、今の教員は授業準備から保護者対応、校務分掌まで多様な業務を抱えており、一つの席で全てをこなすのは非効率」と指摘する。ABWの要素を取り入れることで、教員同士の自然な交流が生まれ、暗黙知の共有やメンタルヘルスケアにもつながるという。
実際にABWを導入した学校では、職員室に「立ち話コーナー」や「短時間休憩スペース」を設けたところ、教員間の情報共有が活発になり、授業改善のアイデアが生まれやすくなった事例がある。また、個人の所有物を最小限に抑え、共有ロッカーを設置することで、フリーアドレス化が進み、部署を超えた連携も促進された。初期投資は必要だが、長期的には教員の負担軽減や離職防止に寄与する可能性が高い。
職員室改革は、教員のウェルビーイングを高めるだけでなく、生徒にとっても良い影響を与える。教員が余裕を持って指導に臨める環境が整えば、授業の質や生徒との関わり方も改善される。オカムラの研究所は今後、学校専門のワークショップやゾーニング提案を拡充する方針で、自治体や教育委員会との連携を強化している。教員の働きやすい職員室づくりは、教育改革の基盤となる重要なテーマである。