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鉄道のインフラと運行を分離する上下分離方式が導入されたヨーロッパでは、多くの企業が列車運行に参入できる環境が整った。しかし実際には、新規参入企業に対する妨害行為とも言える動きが相次いでいる。その典型が、フランス国鉄(SNCF)の最新型高速列車「TGV-M」のイタリア運行をめぐる問題だ。試験線での貴重なTGV-Mの走行シーンや、各国で奮闘する「新規参入組」の列車の写真が記事内で紹介されている。
参入障壁の一つが、既存の鉄道事業者による線路使用権の独占的な確保だ。例えばイタリアでは、国鉄のトレニタリアが運行ダイヤの大部分を長期間押さえ、新規事業者が割り込む余地を狭めている。TGV-Mがイタリアに乗り入れる際も、既存の高速線での時間枠獲得に難航したとされる。
日本は上下分離方式を採用しておらず、JR各社が自らインフラを保有・管理している点で欧州とは異なる。欧州の方式は競争促進を目的とするが、実際には不公平な条件が新規参入者の足かせになるケースが多い。例えば線路使用料の設定や運行ダイヤの配分が既存事業者に有利に働いているとの批判がある。
公正な競争をうたう欧州連合(EU)の鉄道政策だが、現場では「新参会社いじめ」が横行している実態が浮き彫りになる。規制当局の監視が不十分な地域では、既存事業者が自社の利益を守るために陰に陽に妨害行為を行う場面も少なくない。TGV-Mの問題はその氷山の一角に過ぎない。
こうした状況を改善するためには、独立した規制機関の強化やダイヤ配分の透明性向上が急務だ。また、欧州委員会は競争ルールの厳格な適用を求めており、今後の動向が注目される。新規参入組の列車が増えることで、料金の低下やサービス向上につながるとの期待もある。