
ホルムズ海峡封鎖によるナフサの調達難と価格高騰を受け、日本の石油化学各社は2027年3月期の生産計画と業績予想の策定に苦慮している。原料となるナフサの安定確保が困難になる中、企業は従来の需給バランスを見直し、新たなリスク評価を迫られている。
業界関係者によれば、ナフサの調達は一部ルートで確保できているものの、価格は高止まりしており、エチレンなどの基礎化学品の生産コストを押し上げている。各社はスポット市場での調達に依存するリスクを避けるため、長期契約の見直しや代替原料の検討を進めている。
しかし、ナフサ価格の上昇だけが課題ではない。需要減退への懸念から、企業は「ナフサ価格の低下を祈る一方で、急落も痛手となる」というジレンマに直面している。価格変動が激しい市場では、在庫評価損や収益の不安定化が経営を圧迫する。
特にクラッカー(エチレン製造装置)の稼働率向上が思うように進まない背景には、需要回復の遅れや国際競争の激化がある。ある化学大手の幹部は「ババを引きたくないという心理が働き、積極的な設備投資に踏み切れない」と打ち明ける。
「エッセンシャル産業」としての立場を維持するため、各社は省エネ技術の導入や高付加価値製品へのシフトを模索している。しかし、短期的な収益改善と中長期的な競争力強化の両立は容易ではなく、業界全体の生き残り戦略が問われている。