
自民党の石破茂前首相は4日、長野市内のホテルで講演し、憲法改正に関して自衛隊の位置づけとともに、政治による統制を明記する必要性を改めて訴えた。「憲法に自衛隊の存在が書いていないのは本当にいいのか。『国の独立と平和のために自衛隊がある』と明記すべきだ」と強調した。
現行の自民党改憲案は、憲法9条1項・2項を維持した上で自衛隊の存在を明記する方針を掲げている。石破氏はこの方針を認めつつも、単なる明記では不十分だと指摘した。
「憲法に書きさえすればいいとは思わない。きちんと統制する手段を考えていかねばならない」と述べ、文民統制の具体化が不可欠だと強調。統制の在り方を憲法に盛り込むべきだとの考えを示した。
石破氏は「だいたい私の言うことは自民党で常に少数で、取り上げられることはないが、事の本質は何かを考えることはとても大事だ」と語り、自身の主張が党内で受け入れられにくい現状を認めつつも、理念を貫く姿勢をみせた。
戦前の政策決定過程については、「議会は戦争を止める役割を果たさず、予算も十分に審議されなかった。メディアも戦争をあおった」と批判。その結果、「その時さえ良ければいいという考えが国を誤らせ、多くの命が失われた」と振り返り、同じ過ちを繰り返してはならないと訴えた。
先の大戦について石破氏は「亡くなった人々は家族や故郷を思いながら散っていった。戦後80年、その思いに何としても応えたい。二度と戦争してはならない」と重ねて強調した。(奥原慎平)