
2040年に現役世代(15~64歳)が現在の8割に減少し、生活に欠かせないサービスの維持が難しくなる「8がけ社会」をどう生きるか。都立日比谷高校の生徒5人と朝日新聞の記者が3月15日、東京本社で対話した。参加したのは東京都教育委員会のグローバル人材育成プロジェクトに加わる2年生(いずれも17歳)で、これまでに米国国連本部や大学を視察し、SDGsやジェンダーなどの学びを深めてきた。
対話に先立ち、取材班の石松恒デスク(49)=現ネットワーク報道本部統括マネジャー代理=が「8がけ社会」の概要を説明。現役世代の減少と高齢化の進行で人手不足が深刻化する現実を伝えた。生徒たちはこの課題を真正面から受け止め、今からすべきことを記者と共に考えた。
教育問題に関心がある平松葵さんは、AI(人工知能)などの技術を駆使することで「1人でできる量を増やす、こなせるタスクを増やすことが重要な気がする」と指摘した。ほかのメンバーからも、高齢者の定義を見直し、未成年も含めた若い世代が担い手として活躍しやすい環境を整える必要性が提案された。
一方、連載企画で8がけ社会の災害対策を取材した東京社会部の太田原奈都乃記者(30)は「最終的に行き着く課題は、一人ひとりの命を守れない状況だった。行政が助けたり、住民同士で支え合ったりできない地域をどうするか」と語り、効率化だけでは対処し切れない現実をどう乗り越えるか問題提起した。
途上国支援のボランティア経験がある辻本彩香さんは「自分が見捨てられる側になった時に、どうあるべきかを想像したい」と答え、厳しい状況での対応に思いをめぐらせた。対話では「社会は縮小しても熱量高く」参加とつながりで築く未来像なども議論され、記者と生徒が共に「8がけ社会」への向き合い方を模索した。