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80歳を迎えた哲学者の中島義道氏が、脳出血を経験し、身体の不自由と向き合う中で、20歳から60年間恐れ続けてきた「死後の永遠の無」に対する考え方に変化が生じたことを明かした。自身の根本的な考え方の変化を、東洋経済オンラインの取材で語っている。
中島氏は20歳の頃から「死後の永遠の無」を恐怖してきたという。死後、自分の意識が永遠に消えてしまうという考えが、長年にわたって彼の思考の中心にあった。しかし、脳出血を経験し、身体が思うように動かなくなった現在の状況が、その恐怖に対する見方を大きく変えるきっかけとなった。
「死んで、かつ死なない」という一見矛盾するような境地に至った背景には、脳出血による身体の不自由さがある。かつては頭脳が全てだった哲学者にとって、身体の制約は大きな打撃でありながらも、死後の永遠の無に対する恐怖を相対化する体験となったようだ。
中島氏は、身体の不自由さと向き合うなかで、死とは単なる無ではなく、また別の形での存在の可能性ではないかと考えるようになった。「死後の永遠の無」という恐怖は、実は錯覚だったかもしれないという視点に至った。
現在もリハビリを続けながら思考を深めている中島氏は、80歳という晩年にして新たな哲学的境地を開きつつある。長年の恐怖から解放されつつあるその姿は、死を前にした人間の思考の変化を如実に示している。