
佐賀県武雄市に4月に開学した私立武雄アジア大が、入学定員140人を大幅に下回る37人の入学者で門出を迎えた。これを受け、小松政・武雄市長は28日の定例記者会見で、大学側に対し厳しい注文を付けた。市長は「来年度の定員確保はきわめて重要だ。学生確保への確実な見通しや道筋をしっかりと示してほしい」と述べ、危機感を露わにした。市は大学を核としたまちづくりを推進する方針だが、まずは学生確保の具体策が問われる形だ。
同大は学校法人旭学園が設置し、県内で3校目となる4年制大学として東アジア地域共創学部を設けている。開学にあたっては地元自治体による巨額の財政支援が行われており、武雄市が13億円、佐賀県が市を通じて6.5億円を補助した。公金が投入されているだけに、計画を大きく下回る滑り出しには市民からも厳しい視線が注がれている。市長は会見で、市民の声が「失敗だ」「来年度が大事だ」「長い目で見るべきだ」の三つのパターンに分かれていると現状を説明した。
苦境に立つ大学側も、募集活動の不備を認めている。3月に行われた市議会への説明の場で、小長谷有紀学長(当時は学長予定者)は「学生募集の取り組みが、まだまだ足りなかったと大いに反省している」と苦渋の表情を見せていた。当初の入学予定者は39人と発表されていたが、実際の入学者はさらに2人減るという厳しい現実が浮き彫りとなっている。教育の質の担保とともに、いかにして大学の魅力を発信していくかが今後の大きな課題となるだろう。
国の対応も極めて厳格なものとなっている。松本洋平・文部科学相は4月3日の会見で「大学設置計画の定員を集める責任を大学として果たせなかったということで、文科省としては大変遺憾。設置計画の履行状況について我々も調査し、入学者数の実績に応じた定員規模にするよう厳しく指導し、必要に応じて計画の見直しを求めていきたい」と踏み込んだ発言を行った。文科省は今後の運営状況を厳しく注視し、定員規模の適正化を含めた指導を行う構えを見せている。
一方で、支援を続ける佐賀県の山口祥義知事は、24日の定例会見で慎重に見守る姿勢を示した。知事は「今、スタートを切ったところで、見守っていきたい。これからどういう形になっていくのかをしっかり注目していきたい」と話し、今後の推移を注視する考えを明らかにした。小松市長も、大学を生かしたまちづくりを進めることが結果的に学生確保にもつながっていくとの見解を示している。地域経済の活性化を期待される新設大学は、その存在意義を問われる正念場を迎えている。
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