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高等専門学校(高専)の生徒がものづくりとAIのディープラーニング(深層学習)を活用して新事業を提案する全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト(DCON)の本選が、8、9日に東京都渋谷区のヒカリエホールで開催された。技術審査とプレゼンテーション審査を経て、下水道の自動点検ロボットを開発した豊田工業高等専門学校(愛知県豊田市)のチーム「Kanro AI」が最優秀賞に輝いた。他のチームからも多様な作品が出そろい、フレッシュな技術力と熱いチームワークを見せた。
DCONは、高専生が「『技術』を『ビジネス』に変える力を学ぶ」目的で2019年からスタートし、今回で7回目を迎えた。高専生の強みである発想力と技術力を生かし、多様で新規性の高い作品で競い合う場として定着している。
「毎日ものづくりと向き合っている優秀な高専生が、もっと評価されて欲しい。技術力を評価してもらう機会は高専生にとって自信にもなる」とDCON実行委員会の岡田隆太朗事務局長はDCONを始めた思いを語った。東京大学工学系研究科教授で同実行委員会の松尾豊委員長は「高専生のものづくりのスキルはAIと相性が良い。AIを学び、ものづくりと組み合わせて社会を良くする担い手になってほしい」とDCONの狙いを述べた。
今大会は過去最多の119チームがエントリーし、書類審査を通過した10チームが本選に進んだ。各チームには国内外で事業創出や技術実装の最前線に身を置くメンターが付き、学生の技術やアイデアを事業として実装できるようサポート。学生たちはメンターと二人三脚で挑んだ。
本選は1日目の技術審査、2日目のプレゼンテーション審査を経て、技術の新規性・信頼性、事業の将来性などの観点から「企業評価額(円)」で最終的な評価を決定する。
企業評価額5億6000万円で最優秀賞を受賞した豊田高専の「Kanro AI」の作品は、下水道の自動点検ロボット「Pipe Eye」。人が通れない下水管の中での作業をロボットが全自動で行う。通常はモニターを見ながら遠隔操作するが、Pipe Eyeはセンサーで距離を測り、カメラの映像をAIがリアルタイムで画像認識。データを管理し、すぐに報告書を作成することも可能だという。
企業評価額2700万円で農林水産大臣賞などを受賞した舞鶴工業高等専門学校(京都府舞鶴市)の「mAIzuru」の作品「ことの葉」は、盆栽とチャットで対話しながら育成できるデバイス。盆栽の鉢にセンサーを挿して土の状態などのデータを取得し、「今ちょっと水が足りない」といったメッセージのやり取りができる。舞鶴高専4年の浅香樫歩さん(18)は「盆栽は1000年生きるため、1人では育てられない。盆栽を人から人へ『受け継いでいく』という体験を目指している」と話した。
仙台高等専門学校広瀬キャンパス(宮城県仙台市)の「それいけ!運搬マン」の作品「Nego Delivery」は、マンションなどの宅配ボックスから部屋に荷物を届けるロボット。時間通りに荷物を受け取れず再配達となるのを防ぐため、AIが住人たちの予定を調整する。AIから時間の指示を受けた自動配送ロボットが各部屋に荷物を届けるという仕組みだ。
DCON実行委員会の岡田氏は「技術を社会にどう実装するかを考えることで、視野を広げ、より優秀なエンジニアになってもらいたい」と期待を込めた。