
国民民主党の榛葉賀津也幹事長が22日、国会内で開いた定例会見は、冒頭から終始“記者いじり”が飛び交う異例の展開となった。自民党内で少数与党を打開するための連立入りを期待する声が相次ぐなか、榛葉氏はあえて軽妙な語り口で政局報道を牽制する狙いがあったと見られる。
時事通信の記者が「与党と野党の関係について」と切り出すと、榛葉氏は「与党と野党の関係だよ」と即座に切り返した。さらに記者が「自民党幹部から連立入りを期待する声があるが、具体的な働きかけはあったのか」と追及すると、榛葉氏はライバル通信社を引き合いに出しながらこう返した。
「自民と国民民主といえば、時事と共同よりは仲がいいかもしれないね。お互い国のために考えている。あ、皆さんも国のために考えているか。オーケー」
その上で、「政策ごとに信頼関係を作って国民のための政策を実現する。もう与党も野党もない。すべては国民生活のためだ」と党のスタンスを強調した。記者が「連携には信頼関係が不可欠か」と尋ねると、榛葉氏は「私も記者さんも信頼関係が必要だよ」と応じたが、記者がそのまま質問を続けると「軽く流したね」と冗談めかして笑った。
日本経済新聞の記者が名乗ると、榛葉氏は「日経新聞、きょうなんか煽っていたね。連合と国民民主党を喧嘩させたいの。笑っているけど…どうぞ」と語りかけ、質問を促した。国民民主党の支持母体である連合は21日に衆院選総括をまとめ、同党の候補者調整戦略を批判。日経は22日付朝刊でこの内容を報じていた。榛葉氏はその記事を念頭に置いた“牽制”だったと見られる。
また、共同通信の記事についても「共同で変な記事が出ていたね」と持ち出し、国民民主、自民、日本維新の会の有志議員が19日に設立した「和平調停議員連盟」を取り上げた。「あれはうちの深作ヘススら、自民と維新と国民の安全保障の専門家の卵たちが議論して、ウクライナやイラン情勢があったので、これから和平調停で日本は大事だと。榛葉さん幹事になってくれといったから」と説明。その上で「それを連立への布石って…。読むねえ。将棋のプロでもそこまで読まない」と笑いを誘った。共同通信は同議連について「連立枠組み拡大も視野に入れた連携との臆測を呼びそうだ」と報じていた。
テレビ東京の記者が「3党が中心になった理由」を尋ねると、榛葉氏は共同通信の記者を見やりながら「結託してんの。それは深作ヘススさんに聞いてください。頼まれたのだから。全く他意はないと思う」と応酬。「ただ3党は安全保障に現実的な政党だね。そういうことだと思いますよ」と語った。
終盤では、20日の党首討論で中道改革連合の小川淳也代表が高市早苗首相を「破壊力ある笑顔」と評した話題にまで及んだ。月刊ファクタ編集長の宮嶋巌記者が「涙は女の武器との言葉があったが、笑顔は首相の武器。完成度が高い」と語り始めると、榛葉氏は「宮嶋さん、それ以上はアウトになりますよ。わたし博多美人でバッシングされたんだから」と制止した。榛葉氏は昨年5月、福岡市での街頭演説で「博多の女性はきれいだね。男性はまあまあだね」と発言し、後に「下手なつかみだった」と釈明した経緯がある。共産党の小池晃書記局長から「ルッキズムのような発言は許されない」と批判も受けた。この日の会見では「ルッキズムだと怒られるし、かつて『博多美人』でだいぶ怒られた。笑顔が破壊力あるかないかはそれぞれの判断。笑顔はすべて素晴らしい。老若男女、笑顔がいいですね」と締めくくり、さらに「破壊力ある笑顔」という表現については「構文力が広がるね」と、小川氏独特の言い回しもいじってみせた。
会見は榛葉氏が直後に講演を控えていたため30分を目安にスタート。終了時刻を少し過ぎて閉会が告げられると、榛葉氏はこの日質問しなかったNHK記者に「NHKさん、いいの?」と気遣った。NHK記者が「伺いたいことは全て皆さんが」と応じると、榛葉氏は「やっぱ公共放送は謙虚だね。ありがとうございました」と最後まで“榛葉節”を披露し、会見場を後にした。