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「吉田茂の欅」として知られるケヤキの盆栽が16日、さいたま市北区の大宮盆栽美術館で初公開される。もともと埼玉県越谷市の農家にあった庭木で、吉田元首相が大宮盆栽村の名園「九霞園」を訪れて気に入ったという。
「戦争で負けて外交に勝った歴史もある」。戦後日本の復興に尽力した吉田は無類の趣味人として知られた。葉巻や落語、外車、スコッチウイスキーなどを愛し、後半生は盆栽に傾倒。昭和40年に発足した日本盆栽協会の初代会長に就任した。
公開されるケヤキは推定樹齢160年、高さ約120センチ。昭和39年の東京五輪期間中に「オリンピック記念盆栽水石展」に出展された。吉田の没後、福永健司元衆院議長の子息から同美術館に寄贈され、東京五輪開幕に合わせて丹念に手入れされてきた。
ワンマン宰相の異名を持ち庶民派とはほど遠いイメージの吉田が、なぜこの1鉢に魅了されたのか。同美術館の田口文哉学芸員は「堂々たる体躯(たいく)と、それとは対照的に繊細に仕立てられた梢の二面性が、まるで自身の姿のように映ったのではないか」と推測する。田口学芸員によると、盆栽の世界では「東京五輪を象徴する作品」とされ、2つの五輪をつなぐ「リビングアート」(生きた芸術)といえそうだ。
「吉田茂の欅」は16日から当面の間、美術館の盆栽庭園で展示される。木曜休館(22日は開館)。