t>

クオリプス(大阪府吹田市)が開発したiPS細胞由来の心筋シート「リハート」が、いよいよ保険診療の現場に登場する。同社の草薙尊之社長は22日、産経新聞の取材に応じ、9月1日の保険収載を経て、同月下旬にも保険診療として第1例目の移植手術を実施する方針を明らかにした。まずは治験に参加した5つの医療機関を中心に提供を始め、その後、対象施設を段階的に拡大していくという。
リハートは、虚血性心筋症による重症心不全患者の心臓表面に貼り付けることで、心機能の改善を促す再生医療製品だ。同日に決定した保険償還価格は5320万円。3月には条件・期限付きで製造販売承認を取得しており、今後は本承認を目指した正式な臨床データの収集が求められる。具体的には、移植を受ける患者75人と、比較対象として移植を受けない患者150人のデータを蓄積する計画だ。
草薙社長は「ここからが本番」と表情を引き締める。今後7年にわたる承認期間の満了を待つことなく、短期集中で実績を積み上げる考えだ。目標は、3年間で75人への移植を完了し、その後の1年間の経過観察を経て、4年目に本承認を申請すること。治験段階から一歩踏み出し、実地医療での有効性と安全性を早期に証明する狙いがある。
薬価に関しては「与えられた価格の中で、安定供給と事業の持続性を両立させるのが経営者の役割だ」と述べ、製造工程の効率化や大量培養技術の改良によってコスト削減を進める方針を示した。再生医療分野では高額な薬価が課題となる中、持続可能なビジネスモデルの構築が今後の普及のカギを握る。