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2016年1月の金融政策決定会合でのマイナス金利政策の導入決定は、日銀にとって薄氷の判断だった。反対票を投じた白井さゆり元審議委員(慶大教授)に当時を振り返ってもらった。主なやり取りは次の通り。
「直前の15年12月に、買い入れる国債の平均残存期間の長期化を決めた。80兆円規模の買い入れを持続的にするための補完的措置だった。それと、買い入れを難しくするマイナス金利の導入は整合的ではないというのが最大の理由だ。国債の買い入れが限界に来たと捉えられかねないという懸念もあった」
「サプライズを狙う質の政策ではない。先行導入した欧州中央銀行(ECB)の場合、約1年前から技術的には準備ができていると表明し、市場に準備を促していた。日銀も周知に時間をかけるべきだった。私は将来検討の余地はあるとは思っていたが、『今ではない』という考えだった」
「特に10年金利がマイナス0.25%まで落ち込んだのは想定外だった。生命保険会社や年金基金が運用難に陥ったほか、国民にも不安が広がるなど副作用は大きかった」
「国債の大規模な買い入れは、(日銀当座預金への)プラスの不利のもと、銀行の協力もあって可能になっていた。黒田東彦総裁は直前までマイナス金利導入を否定していた。私もその考えを信頼していたのでがっかりした。14年10月の追加緩和に賛成した私が反対に回ったことで、雰囲気はいつもと違っていた。緊張感のある会合だった」
「基本的には失敗だったと思うが、どこかの段階で導入する必要はあった。そうでないと『ECBで効果があったことを日銀がやらなかったことは汚点だ』と批判する人がいただろう。正常化の際に反論がなかったのは、やれることをやり尽くしたからだ。その意味で非常に重要だった」(聞き手 米沢文)