t>

先月インドで開催された日米豪印の協力枠組み「クアッド」の外相会合は、インド太平洋地域で軍事的な威圧を強める中国に対抗する結束を明確に示した。首脳会合の日程は未定ながらも、外相会合のみで域内の民主主義諸国と中国の対立構造を浮き彫りにし、クアッドの存在感を印象づけた。
5月26日に発表された共同声明は「東シナ海と南シナ海の状況を深刻に懸念」すると表明。さらに「力や威圧による行動」に強い反対を唱え、中国を名指しこそ避けたが明確なメッセージを送った。
南シナ海への言及は、中国がフィリピンに対して軍事的脅威を与えていることを非難する狙いがある。フィリピンはクアッド構成国と安全保障協力を深めてきた。マルコス大統領は外相会合当日に日本を国賓訪問し、高市早苗首相との首脳会談で中国を念頭に置いた安全保障上の懸念を表明。クアッドが掲げる自由で開かれたインド太平洋(FOIP)の理念を共有した。
中国の影響力が強まる南太平洋でも、クアッドと連動した動きが相次いでいる。フィジーは5月初め、ウォン豪外相の訪問を機にオーストラリアとの関係強化で合意。数週間後のクアッド外相会合はフィジーの港湾インフラ整備推進を打ち出した。ソロモン諸島の新首相は6月3日、中国との安全保障協定の見直しを表明。約7年前に台湾と断交し中国と国交を樹立した親中政策の修正につながる可能性がある。
外相会合は重要鉱物のサプライチェーン強化に向け、官民合わせて最大200億ドル(約3兆2000億円)の支援を打ち出した。これはレアアース(希土類)を外交カードとして活用する中国に対抗する狙いがある。
フィジー開発や重要鉱物での連携について、インドのOPジンダルグローバル大学のデベンドラ・サフ助教授は取材に対し「クアッドを従来の対話だけでなく行動に向けた連携に移行させる動きだ」と評価した。