
こども家庭庁は28日、医療機関で発生した性被害の実態に関する調査報告書を公表しました。この報告書は、医療機関へのアンケート調査や被害者支援団体へのヒアリングを通じて、外部の目が届きにくい診察室などで起きた深刻な実態を浮き彫りにしています。医師が未成年の女性患者に対し、診療中に自身のスマートフォンを用いてわいせつ行為や盗撮を行っていた事例も報告されました。医療現場という強い信頼が前提となる場での犯行に、社会的な衝撃が広がっています。
今回の調査にあたり、同庁は医療機関へのアンケートに加え、性暴力被害者の支援を行う8つの団体と、実際に被害が発生した4つの医療機関への直接ヒアリングを実施しました。ヒアリングの結果からは、診察という名目のもとで行われる卑劣な行為の数々が明らかになっています。密室空間で行われる行為は周囲から気づかれにくく、被害が潜在化しやすいという構造的な課題も指摘されました。政府はこれらの結果を重く受け止め、実効性のある対策を検討する方針です。
支援団体へのヒアリングでは、被害者から寄せられた生々しい相談内容の詳細が報告されています。具体的な被害内容として、「診療行為と称して他の医療従事者がいない状況下で性的わいせつ行為をされた」という訴えや、「診療中に性的わいせつ行為、写真を撮られた」といった悪質な事例が挙げられました。さらに、「密室環境下で性的わいせつ行為をされた」などの相談も複数寄せられており、診察室が犯罪の場と化していた実態が示されています。これらの引用内容は、被害者が受けた精神的苦痛の深さを物語っています。
被害者の属性を見ると、いずれも女性であり、その中には10代の子どもも少なからず含まれていることが判明しました。一方で加害者は、医師や看護師といった専門職の男性であり、自身の立場を悪用して犯行に及んでいたことが共通しています。現在、政府が検討を進めている日本版DBSの指針案では、医療機関は性犯罪歴の確認対象から外れていますが、実態調査の結果はこの判断に一石を投じるものとなりました。被害の低年齢化は、より早期の予防教育や監視体制の強化が必要であることを示唆しています。
医療機関における性被害を防ぐためには、ハード面とソフト面の両方からのアプローチが不可欠です。診察室の透明性を高める工夫や、複数の医療従事者が立ち会うルールの徹底など、具体的なガイドラインの策定が急がれます。また、被害に遭った患者が声を上げやすい相談窓口の整備や、医療従事者自身の倫理観を問い直す教育も重要となるでしょう。誰もが安心して医療を受けられる環境を取り戻すために、国と医療界が一体となった取り組みが強く求められています。
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