
イラク議会の最大勢力であるイスラム教シーア派の政党連合は27日、次期首相候補として実業家のアリ・ザイディ氏を指名することを決定した。これを受けてアミディ大統領は同日、ザイディ氏に対して速やかに組閣に着手するよう命じている。長引く政治的空白に終止符を打つべく、実務派のリーダーを選出した形だ。新政権の成否は、混迷を極める国内情勢の安定化にかかっている。
イラクでは昨年11月の総選挙を経て、シーア派の政党連合「調整枠組み」が議会の最大勢力を維持している。同連合は今年1月の段階で、隣国イランと緊密な関係を築いているマリキ元首相を次期首相に指名する方針を打ち出していた。しかし、この人事は国内外で大きな波紋を広げ、調整を余儀なくされることとなった。親イラン派への権力集中を懸念する声が、選定作業に影を落とした格好だ。
こうした中、事態を動かしたのは米国の強い圧力だった。トランプ米大統領は今回の人選に関し、「マリキ氏が首相に選ばれるなら、米国はイラクを支援しない」と警告を発した。この異例の通告により、政党連合は人選の再協議を迫られる事態となった。米国の支援打ち切りは、復興途上にあるイラクにとって致命的な打撃となりかねないからだ。
政党連合が27日に発表した声明によれば、最終的にザイディ氏の指名で合意に至ったという。これに先立ち、有力候補と目されていたマリキ氏とスダニ現首相のいずれもが、次期首相への就任を辞退する意向を示した。対立する勢力間での妥協点として、政治色の薄い実業家が浮上した経緯がある。声明は、挙国一致での政権運営を目指す姿勢を強調している。
ザイディ氏には今後、各宗派や民族の利害を調整しながら実効性のある内閣を組織することが求められる。米国とイランという二大国の板挟みとなる中で、いかにして国益を守り抜くかが最大の焦点となるだろう。原油価格の変動や国内のインフレ対策など、山積する経済課題への手腕も問われている。国際社会は、この新たな指導者が踏み出す一歩を注視している。
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