
11日に開幕を控えたサッカーのワールドカップ(W杯)。米国、カナダ、メキシコの3カ国で共催される今大会は、参加国数が拡大した史上最大規模の大会として注目を集める一方で、米・イスラエルとイランとの交戦が影を落とす。イラン代表はアジア最終予選を突破し、米国内でグループリーグを戦う予定だが、トランプ米政権は選手に査証(ビザ)をまだ発給していない。代表団の人選に懸念を深めているとされ、イラン側はキャンプ地変更を強いられる異例の事態となっている。
「懸念するのは代表団の中に、スポーツとは全く関係がなく、(対米強硬路線を主導する)革命防衛隊などとつながりがあるような人物を多数入れ込むことだ」。ルビオ米国務長官は2日、イラン代表のビザ問題について触れ、イラン側の人選を注視している姿勢を示した。この発言を受け、イラン政府は公式に反発し、スポーツ団体が政治問題に巻き込まれるのは不当だと非難した。
イラン代表は当初、米国内でのキャンプを計画していたが、ビザ未発給のため急遽メキシコに変更。メキシコ政府は歓迎の意向を示す一方、米国との調整は難航していると報じられている。国際サッカー連盟(FIFA)も事態を憂慮し、米国政府に早期解決を求める声明を発表した。
米国とイランは1979年のイラン革命以来、断交状態が続く。革命防衛隊は米国がテロ組織に指定する軍事組織で、イラン国内で大きな影響力を持つ。トランプ政権は2018年に核合意を離脱して以降、対イラン制裁を強化しており、今回のビザ問題もその一環とみられる。
イラン代表のW杯参加は依然として不透明だ。開幕まで残り1週間を切り、ビザ発給がない場合、イランはグループリーグを戦えず失格となる可能性もある。外交関係者らは解決に向けた水面下の交渉を続けているが、成果は見えていない。