
首都直下地震が発生した際、増加する訪日外国人客(インバウンド)も被災者となる可能性が高い。政府は令和12年までに訪日客6000万人達成を目標に掲げ、東京都も3000万人の呼び込みを目指す中、改定された緊急対策推進基本計画では外国人向け情報発信強化が盛り込まれたが、避難先確保に関する具体的な数値目標は設定されていない。災害のたびに言語の壁や文化・習慣の違いが問題視されてきたが、備えは十分とは言い難い。
平成7年の阪神大震災では、災害状況や避難先などの情報の大半が日本語で発信され、外国人に十分伝わらなかった。地震の知識や経験が乏しい外国人は、防災用語を理解できないケースが少なくなく、情報空白が混乱を拡大した。
改定した基本計画では、訪日客がデマや災害時の混乱の悪影響を受けやすいと分析され、的確で迅速な情報発信が重要課題として示された。多言語対応のアプリやSNSを活用した情報提供の強化が求められる。
避難所の確保や誘導体制の具体策は進まず、災害時に外国人をどう支援するかが自治体ごとの課題となっている。文化や習慣の違いを考慮した対応も必要だ。
インバウンドの増加に伴い、災害対策の見直しは急務である。言語の壁を越えた情報共有や避難先の事前確保が実現しなければ、首都直下地震で多くの外国人が取り残される危険性がある。