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スマートフォンの普及で「時計産業は斜陽」と見られがちな中、シチズン時計がアメリカ市場で存在感を高めている。同社の米国事業は、スイス製高級時計の相次ぐ値上げによって生まれた価格帯の空白地帯を巧みに捉えた戦略が奏功している形だ。
シチズンの躍進を支えているのが、18年前から仕掛けてきた「マルチブランド戦略」である。同社は主力の「シチズン」ブランドに加え、「アニエスベー」や「プロマスター」など複数のブランドを展開し、異なる客層へのアプローチを強化してきた。
この戦略が本格的に成果を見せ始めたのは近年のことだ。従来シチズンは、アメリカ市場で価格競争に巻き込まれやすい状況にあったが、ブランドポートフォリオの多様化により、各ブランドの独自性を打ち出すことで、価格競争から脱却することに成功した。
追い風となったのは、スイス勢による積極的な値上げだ。高級時計ブランドが価格を引き上げた結果、100ドルから500ドル程度のミドルゾーンに空白が生まれ、そこをシチズンが自社ブランドで埋める形でシェアを拡大している。
シチズンは今後もアメリカ市場での成長を視野に、ブランド価値の向上と販売網の強化を進める方針だ。18年にわたるマルチブランド戦略は、スイス勢の動きを好機に変え、時計業界の中での新たな地位を築きつつある。