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ロシアの「裏庭」とされ、中国が経済的影響力を強めてきた中央アジアで、力学の変化が起きつつある。日本の安全保障にも間接的な影響を与えるこの地域の今を伝える。
岩場と草原が混ざり合う荒涼とした山あいに突如、巨大な青い建物群が現れた。周囲には看板もなく、送電線だけが無数に通っている。
車でゲートに近づくと、鋭い目の屈強な男性警備員に誰何された。「何の用だ」。別の警備員はこちらの車をよく捉えようと監視カメラを調整した。
かつてシルクロードの交易路として栄えた中央アジアに位置するカザフスタン。最大都市アルマトイから中国国境方面へ車で2時間ほどの「ボグティ鉱山」である。中国系企業「佳鑫(かきん)国際資源投資有限公司」がレアメタル(希少金属)のタングステンを採掘している。
「鉱山は3交代の24時間体制。中国人を含む千人超が働いている」と元従業員は取材に明かした。「ほぼ全てのタングステンが中国に供給されている。中国にとって重要なビジネスだ」
タングステンは自動車や防衛産業に使われる重要鉱物で、中国がレアアース(希土類)と同様に輸出を規制する軍民両用品だ。中国は関係が悪化している日本にも輸出規制で揺さぶりをかけており、一部で調達難の状態が続いている。
2025年に本格稼働したボグティ鉱山は世界最大の精鉱生産能力を持つ。将来的には製品化に必要な加工までを担う計画がある。重要鉱物を対外的な威圧に使う中国の重要な戦略拠点だ。