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信越化学工業と中部電力は、2024年度の業績予想の開示を見送った。中東情勢の緊迫化によりエネルギー供給の先行きが不透明で、「合理的に予想を行うことは難しい」と判断したためだ。両社は従来、年度初めに通期業績見通しを公表してきたが、今回初めて開示を見送る異例の決断を下した。
背景にはイランをめぐる軍事情勢の悪化がある。イラン周辺での戦闘激化は原油や天然ガスの供給網に深刻な影響を及ぼす可能性が指摘されている。エネルギー価格の高騰や物流の混乱は、化学製品の原料調達や電力の燃料費に直結するため、企業は業績を正確に見積もることが困難になっている。
信越化学工業は「不確実性が高まっている」と説明し、半導体向けシリコンウエハーや塩化ビニル樹脂など主力製品の需要動向も予断を許さないとしている。同社は中東からの原料調達比率が高くなくとも、国際市況の変動リスクを軽視できないとみられる。
中部電力も同様に業績予想の開示を見送った。同社は液化天然ガス(LNG)の調達を中東に依存しており、地政学リスクが燃料費に与える影響を精査中だとしている。電力需給が逼迫する夏季を前に、安定供給への懸念も表明している。
他の電力会社や化学メーカーの間でも、業績予想の修正や開示延期の動きが広がる可能性がある。アナリストからは「企業が合理的な予想を提示できない状況は投資家の判断を難しくする」との声が聞かれる。日本企業はエネルギー安全保障の課題に直面し、経営計画の見直しを迫られている。