培養脳細胞でDOOMをプレイ——生物コンピュータ「CL1」が示すオルガノイド知能の可能性

1 minutes reading View : 4
Avatar photo
Mika Nakamura
IT - 06 May 2026

オーストラリアのバイオテクノロジー企業コーティカル・ラボは2月、人間の脳細胞を利用した生物学的コンピュータ「CL1」によって、1993年発売のFPSゲーム「DOOM」(ドゥーム)をプレイさせる実験に成功したと発表した。

実験では約20万個の人間由来のニューロンを培養し、シリコンチップ上の多電極アレイ(MEA)に配置。ゲーム画面の情報を電気信号に変換して細胞に入力し、細胞の発火パターンを操作信号としてゲームに反映させる仕組みである。

この研究は、同社が2022年に発表した「培養神経細胞に『Pong』をプレイさせた実験」の応用版である。前回は単純な反射型ゲームだったが、今回は迷路や敵の位置を判断する必要のある3Dゲームへと進化した。

培養方法は、成人の皮膚や血液から作製したiPS細胞を神経細胞へ分化させ、ペトリ皿の上で育てるというもの。脳のような三次元構造はなく、平面的な細胞ネットワークにすぎないが、細胞同士は自然にシナプス(神経細胞間の情報接合部)を形成する。

ゲームプレイでは、成功時に特定の電気刺激、失敗時にランダムな刺激を与えることで学習を促進する。これは神経科学でいう「目標指向学習」に近いメカニズムであり、約1週間でランダム操作よりも良い成績を出すようになったという。

研究者は、この細胞ネットワークには意識や感情は存在しないと強調する。脳の構造もなく、あくまで原始的な生物学的ニューラルネットワークにすぎない。しかし、単なる細胞の集まりが環境刺激に適応し行動を改善する能力を示した点は注目に値する。

この分野は「オルガノイド知能」(Organoid Intelligence:OI)と呼ばれ、将来的には超低消費電力の計算装置として期待されている。現在のAIが大量のGPUと電力を消費するのに対し、生物の神経ネットワークは桁違いに高いエネルギー効率を持つからだ。

もっとも、この技術はまだ初期段階にある。今回のシステムは脳とは程遠い単純な細胞ネットワークであり、現在のAIを置き換えるものではない。それでも、この研究は興味深い問いを投げかけている。

「知能とは、どれほど単純な神経ネットワークから生まれるのか」。AIがシリコン上で進化する一方、もう一つの知能の系統——生物由来の計算機——が静かに芽を出し始めている。将来、AIの進化は「GPU対脳細胞」という全く異なる計算原理の競争へと広がる可能性もある。

今回の「培養細胞によるDOOMプレイ」は、その最初の一歩と言えるだろう。

本記事は、エクサウィザーズが法人向けChatGPT「exaBase 生成AI」の利用者向けに提供しているAI新聞「培養脳細胞がゲームをプレイ」(2026年3月17日掲載)を、ITmedia ビジネスオンライン編集部で一部編集の上、転載したものである。AIスタートアップのエクサウィザーズ AI新聞編集長は、米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業後、サンフランシスコの地元紙記者を経て時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続け、通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立、2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。

編集部注:この記事はAIを使用して作成されており、ITmedia NEWSの記事を元に、内容を変更せずにリライトしたものです。
Share Copied