t>

米・イラン合意は「危機の先送り」 三菱総研主席研究員が分析

1 minutes reading View : 3
Yuki Tanaka
国際 - 15 6月 2026

米国とイランが日本時間15日、戦闘終結に向けた合意に達した。中東危機は終焉に向かうのか。中東・アラビア語専門の外交官として26年間外務省に勤務し、現在は三菱総合研究所で主席研究員を務める中川浩一氏が産経新聞に解説を寄せた。

今回の米・イラン覚書合意は、全面戦争への拡大を回避する意味で一定の意義を持つ。しかし、本質的には危機の解決ではなく、「危機の先送り」である。

まず米国の戦争目的が達成されたか。米国はイランのミサイル能力無力化、防衛産業基盤の破壊、海空軍の排除、核開発能力の阻止、イスラエルなど同盟国の安全確保を目標とした。だが現時点で達成されたとは言い難い。イランは軍事能力が残存し、核開発問題も未解決で、イスラエルの安全保障環境も変わっていない。

米国が合意した最大の理由は、ホルムズ海峡の開放と原油価格の安定にある。トランプ大統領は中間選挙を見据え、エネルギー価格上昇を抑え、世界経済や米国経済への悪影響を回避することを優先した。核問題など根本的な争点は将来に先送りし、エネルギー市場の安定化を図った。

イラン側にも受け入れ理由があった。ホルムズ海峡を握り続けながら核問題の決着を先送りでき、戦争で打撃を受けた体制を立て直す時間を確保できる。最高指導者ハメネイ師後を見据えたモジタバ・ハメネイ師を中心とする体制再建の観点から、停戦は重要である。

ただし合意が長続きする保証はない。最大の理由は、実際の軍事対立の主要当事者であるイスラエルが合意の当事者ではないこと。極右のイタマル・ベングビール国家治安相は15日に「イスラエルはこの合意に拘束されない」と公然と表明した。イスラエル国内に合意を自国の安全保障上の利益とみなさない勢力が存在することを示す。レバノンのヒズボラを巡る衝突が発生すれば停戦は容易に崩壊しかねない。

今回の合意は60日間の停戦延長という性格が強く、2026年2月28日に始まった戦争の根本原因である核開発問題や地域覇権争いは何も解決されていない。米国とイランの間の深刻な不信感から、ホルムズ海峡の正常化についても「どちらが先に履行するのか」を巡る駆け引きが続く。形式上は海峡が開放されても、海運会社や保険会社は高いリスクプレミアムを維持し、実質的に高コスト状態が続く可能性が高い。

ネタニヤフ首相にとって今回の停戦は必ずしも政治的成果ではない。体制転換や核開発能力の無力化という当初目標を達成できていないため、10月の選挙を前に強硬姿勢へ回帰する誘因は残る。

結局、今回の合意は米国が原油価格安定を、イランが体制再建の時間をそれぞれ手に入れた政治的妥協である。市場は停戦を歓迎しているが、中東リスクが消えたわけではない。むしろ危機の発火が延期されたにすぎないと見るべきである。

編集部注:この記事はAIを使用して作成されており、産経新聞の記事を元に、内容を変更せずにリライトしたものです。
Share Copied