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香港の自由の殉教者たち 『ハンターになれ』書店経営者の覚悟

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Yuki Tanaka
国際 - 12 7月 2026

そのニュースが香港から飛び込んできたのは、6月24日の深夜になってからである。九竜地区の独立系書店「ハンター書店」が家宅捜索を受け、男女2人が逮捕されたというのだ。

すぐさま、同書店を共同経営する黄文萱(こうぶんけん)さん(33)と彼女のパートナー(32)に違いない、と確信した。政府への憎悪を煽(あお)る目的で出版物を販売した疑いなどがもたれているという。店頭に平積みされていた著名な民主活動家、黎智英(れいちえい)(ジミー・ライ)氏の伝記が脳裏に浮かんだ。

それにしても2020年の香港国家安全維持法(国安法)の施行後、一体どれだけ多くの知人や取材相手が逮捕されたことだろう。泣きながら夢を語ってくれた黄さんの身を案じた。

黄さんは、昨年6月に連載した「『戦車』に立ちはだかる香港人」で取り上げた元民主派区議である。市民たちが身の安全のため自己規制に走る中、民主活動家の本や1989年の天安門事件など政治的に敏感な書籍の販売を継続。香港に進駐した〝目に見えない戦車〟ともいえる国安法の恐怖に立ち向かう数少ない香港人の一人だった。

「ハンターになれ、無邪気な獲物になるな」。2022年に開店した書店のウェブサイトに黄さんが刻んだ言葉である。中国によって国安法が香港に導入され、次から次へと自由が奪われていくというのに市民はされるがまま。「私はそれが我慢できなかった」。黄さんは昨年6月の取材でそう語っていた。

直後の昨年7月、彼女は行動を起こす。自分たちのように、公立図書館や一般書店には置いていない書籍も取り扱う独立系書店だけのブックフェアをハンター書店内で開催したのだ。参加したのは15の独立系書店・出版社で、市民のほか中国本土からも客が訪れ、にぎわった。

恐怖に立ち向かう勇気はどこから来るのか。「キリスト教を拠(よ)りどころにする民主活動家も少なくありませんが」と水を向けると、黄さんの隣にいた男性が笑みを浮かべた。「僕たちは自由を信じている。自由を信仰している、と言ってもいい」

今回、一緒に逮捕されたパートナーである。2人は24年に制定された国家安全条例違反などの罪に問われ、最高で14年の禁錮刑を科される恐れがある。

香港における書店弾圧の歴史は10年以上前にさかのぼる。中国共産党政権を批判する書籍などを販売していた銅鑼湾(どらわん)書店店長の林栄基さんが15年、中国本土で一時拘束されたのだ。

その後、台湾に逃れ、20年に銅鑼湾書店の営業を再開した林さんが今月2日、70歳で亡くなった。昨年1月に台北市内の同書店で取材したとき、「(どんな本でも販売できることが)自由の象徴だ」と話していた。

昨春、病気で休業したが、こう言って書店の継続に意欲をみせていたという。「本は人の考えを変えることができる」と。

黄さんはその先に目を向ける。取材の際、「私はロマンチックな空想家ではない」と前置きし、こう語っていたのだ。

「人を本当に変えることができるのは本ではない。その人自身です」。国安法の下で萎縮する市民を励まし続けたハンター書店店長らしい、と思った。

黄さんらは逮捕の2日後、保釈された。そして、今月7日に書店の営業を再開したのだ。

逮捕前、黎智英氏の伝記が平積みされていた場所には「香港稲米図鑑」などの本が並んだ。黄さんが黎氏の本を撤去したのではなく、家宅捜索時に当局に全て押収されたのだろう。

昨年6月、「夢は何ですか」と質問したときのことだ。黄さんは答えを探しあぐね、逆に聞いてきた。「あなたの夢は?」

私は19年に大規模な市民デモを取材した日々を思い浮かべ、「再び香港の通りが人々で埋めつくされるような…デモを取材したいですね」と話した。今の香港とのあまりの違いに、最後は感情が高ぶってしまった。

黄さんを見ると、彼女の瞳からも大粒の涙がこぼれ落ちそうになっている。「取材を受けて泣くなんて初めて…」と笑って涙をぬぐいながら答えた。

「自由があり、市民自らの能力によって善なる選択ができる香港社会になってほしい」

営業を再開したハンター書店の入り口に、逮捕前と変わらず掲げられている言葉があった。「正々堂々と誠実に生きる」。起訴と有罪判決をすでに覚悟した黄さんとパートナーから香港人へ贈るメッセージである。

編集部注:この記事はAIを使用して作成されており、産経新聞の記事を元に、内容を変更せずにリライトしたものです。
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