
岩手県大槌町の2地区で発生した山林火災は、強風に煽られて夜通し燃え広がり、焼損面積は200ヘクタールを超える甚大な被害となっている。町は23日午後5時までに、吉里吉里地区の1229世帯、計2588人に対して避難指示を発出した。23日朝からは県の防災ヘリコプターなども投入され、空と陸の両面から懸命の消火活動が続けられている。
釜石大槌地区行政事務組合消防本部によると、午前6時時点の焼損面積は吉里吉里地区で178ヘクタール、小鎚地区で23ヘクタールに達した。22日夕方に発生した火の手は、日没後の強風によってさらに勢いを増し、東側の山林を飲み込んでいった。消防部隊は近隣自治体からの応援も受け、住宅地への延焼を食い止めるべく不眠不休の作業に当たった。
高台に位置する特別養護老人ホーム「らふたぁヒルズ」の裏手では、幅5メートルほどの道路を挟んで火の手が迫る緊迫した状況が続いた。入所者は既に別の施設への避難を完了していたが、庭のこいのぼりが強風に舞う中、背後の山は一面の炎に包まれていた。消防士たちは熱風と煙に晒されながらも、道路際からの放水を続け、火の粉が飛び火するのを防いだ。
住民らが身を寄せる避難所でも、不安な夜が明けた。午前6時時点で3カ所の避難所には219人が集まり、山の一部から火柱が上がるたびに静まり返ったグラウンドにはどよめきが起きた。この地域には東日本大震災後の集団移転で整備された住宅街や保育園が隣接しており、住民らは再び襲った災害の脅威に厳しい表情を浮かべていた。
地元の消防団は消火栓から長いホースを連結し、ふもとの住宅街を守るための防御線を死守した。ふもとの道路には応援に駆けつけた消防車が列をなし、一帯は赤色灯の光と焦げた臭いに包まれている。気象状況や風向きの変化次第ではさらなる延焼の危険もあり、町と消防は引き続き最大級の警戒を続けている。