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無料で利用できるネットサービスには、多くの場合広告が付随する。ビジネスモデルとして理解できるものの、ニュース記事の本文を広告が覆い隠すなど、本末転倒な状況が生じている。
ネット広告の問題は枚挙に暇がないが、筆者が最近焦点を当てているのはユーザーインタフェース(UI)を偽装するタイプの広告である。具体例を挙げながら解説する。なお、広告画面には著作権が存在するため、広告そのものに関わる部分やセキュリティに関わる部分にはモザイク処理を施している。
一見すると、何の変哲もないゲームの広告に見える。ゲームのプレイ画面がアニメーションで再生され、上部には「Skip」もしくは「×」ボタンが表示され、これをタップすれば広告を閉じられるように思わせている。
この「Skip」と「×」こそが、偽装されたUIである。これらも広告内の画像の一部であり、どちらをタップしても結局はゲームのインストール画面へ誘導される。本当の閉じるUIは、画面上部に小さく表示された「>>」である。
同様の手口は、中国系ECサイトの広告でも頻繁に見かける。「閉じる」ボタンをタップしたはずなのに、ECサイトに飛ばされてしまった経験を持つ読者も多いのではないだろうか。
ほとんどの人は、自分のタップ位置を誤ったか、クリックし損なったと考え、自分を責めてしまう。しかし実際には、偽装されたUIによって巧妙に誘導されているのである。
別のパターンも紹介する。以下はニュースサイト内に表示された、次のページへ進むためのボタンのように見える広告である。しかし、この部分は広告枠であり、実際のページ送りボタンではない。
記事の続きを見ようとここをクリックすると、ウイルス感染のアラートを装ったフィッシングサイトへ誘導される。マイクロソフトの公式ページに移動したかのような見た目だが、URLは全く無関係であることが示される。
多くのニュース記事は複数のページに分割されており、下部に「次へ」や「続き」といったリンクボタンが設置されている。このボタンを模倣した広告が配信されているのだ。
この広告はGoogle Adsenseを通じて配信されている。したがって、広告に問題があればユーザーがその場で報告できる仕組みが用意されている。しかし、報告の選択肢にはフィッシング詐欺に相当する項目が存在しない。
Googleに報告する場合は、「マイアドセンター」内の「最近表示された広告」から該当する広告を探し、詐欺広告として報告することが可能である。
こうした違法サイトへ誘導する広告は、景品表示法上で違法になるのではないかと疑問に思うかもしれない。しかし、このケースでは明確な線引きが難しいグレーゾーンに位置しており、そのために生き残っていると考えられる。
景品表示法は、表示された広告の内容が明らかに違法性を帯びている場合に適用される。例えば、内容が完全に虚偽である、実際よりも優良に見せる誤解を与える表現をしている、といったケースが該当する。
単に「続きへ」と表示された広告は、こうした条件には当てはまらない。
ネット広告は表示されて終わりではなく、クリックすることで別ページへ遷移できる。この場合、遷移先と広告表示の関連性も問題となる。景品表示法は、表示された広告とリンク先を一体として評価する仕組みを備えている。
例えば、広告の表示画面で「公式」と謳っているが実際のリンク先が非公式サイトや偽サイトである場合、優良誤認または有利誤認表示として違法となる余地がある。
一方、単に「続きへ」と表示された広告においては、「続きへ」とは「広告の続きへどうぞ」という意味である、という主張も一応成立する。
景品表示法は、リンク先が違法サイトかどうかで違法性を評価するのではなく、あくまでも広告表示とリンク先の関連性において事実と異なるかどうかを評価する。しかし、ニュースサイトで「続きへ」という表示を見れば、通常のユーザーは次のページに進むためのリンクボタンだと認識する。これこそがユーザーインタフェースを偽装する広告手法の問題点なのである。