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「生命保険会社の営業活動を通じて形成された顧客との信頼関係を悪用し、金銭を詐取するなどの極めて悪質な事案が多数確認されている」「単なる個別不祥事にとどまらず、業界全体に対する社会的信頼を損ない、保険事業の存在意義そのものを揺るがしかねない深刻な問題だ」。6月、東京・日比谷にある生命保険協会の会議室で、金融庁の幹部は居並ぶ生保の首脳陣に向かって、そう苦言を呈した。
今回、東洋経済オンラインが入手した資料によると、少なくとも11社の生命保険会社で金銭詐取や不正な保険契約の勧誘など約20件の不祥事が確認された。被害額は総額で数億円に上るとみられ、顧客の高齢者や認知症患者を狙ったケースも含まれている。
業界関係者によれば、低金利環境の長期化で伝統的な貯蓄型保険の販売が難しくなる中、一部の営業職員がノルマ達成のために不正な手段に訴えた可能性がある。また、内部通報制度が機能せず、不祥事が長期間見逃されてきた実態も浮かび上がっている。
金融庁は各社に対して、顧客資産の不正流用や虚偽説明の再発防止策を求める行政処分を検討している。一部の保険会社では既に内勤職員によるモニタリング強化や、営業成績評価の見直しを実施しており、トップ自らが報酬を返上する動きも出ている。
業界全体としては、今回の不祥事を受けて2025年度中に自主規制ルールを厳格化し、顧客との契約内容を第三者機関がチェックする仕組みを導入する方針だ。しかし、専門家からは「表面的な対策では信頼回復は難しい。経営陣の倫理観が根本的に問われている」との指摘が出ている。