
中東情勢の悪化により石油の供給不安が長期化し、1973年の第1次石油危機の再来を懸念する声が高まっている。当時と比べれば石油備蓄に加え、エネルギー源の多様化や省エネ化など危機への備えは大きく改善した。だが、燃料を海外に依存する〝弱点〟は変わっておらず、ホルムズ海峡の封鎖が長引いて備蓄が枯渇に近づけば、日本経済の存立を揺るがすような事態が現実になりかねない。
資源エネルギー庁によると、原油やガソリンなど原油由来の製品も含む石油備蓄は4月28日時点で211日分。ホルムズ海峡を経由しない代替調達の進展で「来年の年明けまで必要な量の確保にめどが立った」という。
第1次石油危機当時、日本は国家備蓄制度すら整っておらず、アラブ諸国の禁輸によりガソリンスタンドの休日営業やトイレットペーパーの買い占め騒動が発生した。現在は国と民間合わせて200日超の備蓄を維持しており、即時の供給途絶への耐性は格段に向上している。
エネルギー源の多様化では、原子力発電の再稼働や液化天然ガス(LNG)の輸入拡大、太陽光などの再生可能エネルギーが進み、石油への依存度は1973年度の約77%から2022年度には約37%まで低下した。省エネ技術の進展も需要抑制に寄与している。
しかし、日本の原油輸入の約8割は依然としてホルムズ海峡を通過する。天然ガスも多くが同海峡経由だ。岩国哲也・元岩国市長は「備蓄はあくまで時間稼ぎにすぎず、根本的には中東依存からの脱却が必要だ」と指摘する。備蓄枯渇が現実になれば、経済活動は麻痺し、社会機能が崩壊するリスクは色あせていない。