
総務省は7日、ファイル共有ソフトの不適切利用に対する注意喚起のウェブページを公開した。著作権者からの発信者情報開示請求が急増しており、同省の調査では把握できた約15万件の開示請求のうち、95%がアダルト動画に関連するものだったという。この異常な偏りが他の開示請求への対応に支障をきたしているとして、総務省は制度全体の円滑な運用を目指し、不適切利用の抑制に乗り出した。
対象となったのは、利用者同士がネットワーク上で直接データをやり取りする「ピア・ツー・ピア(P2P)」通信方式を採用したソフトだ。この技術は本来、データ通信の低コスト化と安定化を両立させるものだが、漫画や動画などの海賊版拡散に悪用されている実態が浮き彫りになった。
2022年にはプロバイダー責任制限法(現情報流通プラットフォーム対処法)が改正され、加害者特定手続きを簡略化する「発信者情報開示請求」制度が導入された。P2Pソフトでは、利用者がファイルをダウンロードすると同時に他人にデータを送信してしまう仕組みのため、著作権者の許可なく著作物を公開したとみなされ、開示請求の対象となる。総務省は「軽い気持ちの利用が損害賠償請求に発展する」と警告している。
総務省の調査によれば、令和6年に各プロバイダーが受理した開示請求の申請は約15万件で、このうち95・6%がアダルト動画の著作権侵害に関するものだった。プロバイダー側からは業務が逼迫し、誹謗中傷など他の開示請求に対応できないとして、「制度運用に支障をきたしつつある」といった意見が寄せられた。
総務省は、原因となっているP2Pソフトの利用を抑制することで、開示請求制度の運用を適正化させる方針だ。今回の注意喚起は、制度本来の目的である権利保護と迅速な被害回復を損なわないための措置と位置づけられている。(高木克聡)