
iPS細胞を使った2種類の再生医療製品が条件・期限付き承認を受け、国の機関で価格議論が始まった。開発コストを反映して高額になりがちな再生医療等製品は、公的医療保険の適用対象となるかが焦点で、普及には有効性データの収集とコスト低減という二つのハードルを越える必要がある。
2製品は、大阪大発の新興企業クオリプスが開発した「リハート」と、製薬大手の住友ファーマが手掛けた「アムシェプリ」である。
リハートは心臓の筋肉の血管が衰える虚血性心筋症による重症心不全を対象とし、アムシェプリは脳内物質ドーパミン減少によるパーキンソン病を治療する。いずれも根本治療への期待が高い。
臨床試験では両製品とも有効性が推定される結果が出たが、症例数はリハートが8人、アムシェプリが6人と限定的だったため「推定」の段階にとどまる。
生きた細胞から作る再生医療等製品は品質管理が難しく、有効性を示す十分なデータを得るまで時間がかかる。このため2014年施行の医薬品医療機器等法で条件付き承認制度が導入され、有効性推定段階で早期承認を可能にした。
現在は自動車免許でいえば仮免許の段階で、リハートは7年以内に75人、アムシェプリは35人の症例を集め本承認を申請する必要がある。再審査で有効性を裏付けられなければ承認は失効する仕組みだ。
制度導入から約11年で条件付き承認を受けた8製品のうち、本承認に至った例はない。別の2製品は十分なデータがそろわず失効した。