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今年で誕生から150年を迎えたデイリーウェアブランド「B.V.D.」を展開する富士紡ホールディングス(東京都中央区)が5月30、31日、東京・原宿でブランド初のポップアップストアを開催した。歴史ある米国発祥ブランドの魅力を再発信したアパレルラインを展開。日本で定着された〝肌着の老舗〟というイメージから飛びだし、「新たなB.V.D.」をアピールした。
アーティストやデザイナーらとコラボした遊び心満載のTシャツやトランクス。ストアに並んだ約50点のアイテムは、B.V.D.ならではのスタンダード路線を継承しながら現代風のデザインとなっている。
今年2月から展開するアパレルラインを企画した同社のブランドマネジャー、北見至さんは「米国ブランドは、アメカジ(アメリカンカジュアル)ブームの再来で注目されている。ファッションに敏感な次世代に、これまでとは違った『B.V.D.』を見てもらいたいと考えた」と狙いを語る。
ブランドコンセプトは「ニュートラルでありながら、新しい『B.V.D.』」。Tシャツやトランクスのプリントデザインを現代アーティストや気鋭のデザイナーに依頼した。
海外でも活躍する現代美術作家、加賀美健氏に「ブランドロゴを強調したデザインにしてほしい」とオファーしたTシャツは、なんとロゴの「V」の文字を、ブランドを象徴する「白いブリーフ」に見立てたデザインに仕上がった。
彫刻や絵画、映像などを使い、社会現象やカルチャーなどをユーモラスに表現した作品で知られる加賀美氏。「彼ならではの発想で生まれたデザイン。『B.V.D.』を象徴するようなブリーフがあって、彼の中のブランドイメージがそれだったのだろう」と北見さんは分析する。
「B.V.D.」は1876年、ニューヨークで誕生。若者だった創業者のブラッドレイ(B)、ヴーヒーズ(V)、デイ(D)の3人のイニシャルをとって名付けられた。今回はヴーヒーズのイニシャルがブリーフ型になった格好だ。
デザインはアーティスト側に「ほぼおまかせ」で作られるため、独創的なアイテムがそろうのも魅力の一つ。「ブランドを知らない人からは『ピザ』と言われちゃうこともありますが、分かる人には分かるというのが彼の作品のおもしろいところですよね」と北見さんは笑う。
ストリートカルチャーを牽引するセレクトショップ「MIN-NANO(ミンナノ)」(東京都中野区)のオーナー、中津川吾郎氏とコラボしたTシャツも、「B.V.D.」へのリスペクトが詰まった作品となった。題材になったのは、1990年代に日本国内で放送されていたテレビCMだ。
CMはモノクロ映像で、嵐の中、腰まで水につかりながら女性を肩車して歩く外国人男性が登場する。女性が「ニューヨークに帰ったら真っすぐカーネギーデリーに行きたいわ。熱いコーヒーを飲んだらカリカリのベーコンとちょっと柔らかめのスクランブルエッグを食べるの。あら、いけない。良く冷えたグレープフルーツを忘れてるわ」などとまくしたてると、嫌気がさした男性が「パンツの中までびしょぬれだ」と言って、女性を水の中に投げ出す内容。最後に「Change to B.V.D.(B.V.D.に変えよう)」というメッセージとともに、ロゴが表示される。
中津川氏はこの女性の発言を英訳し、Tシャツの背面にプリントした。「僕も小学生ぐらいだったので、CMはよく覚えていないんですが、吾郎さんに『デザインイメージは任せます!』といったら、このデザインが出てきた。彼にとってはCMの印象が強かったようです」(北見さん)。
「ART OF TRUNKS(アート・オブ・トランクス)」のデザインも、豪華なクリエーター陣がそろう。テーマは「アメリカ」。それぞれ自由に表現してもらったという。
野外音楽イベント「フジロックフェスティバル」のメインビジュアルで注目を集めるグラフィックデザイナー、渡辺明日香氏はバッファロー、星、波などのモチーフを手書きで描き起こした。「イメージの元になったのは、ネイティブアメリカンですね。アメリカの長い開拓の歴史の原点を表した作品です」と北見さん。
デザイナーの小川真穂氏は「自由の女神の自由な休日」と題し、自由の女神がスポーツや読書、ショッピングなどを楽しむ姿をデザイン。ペインターの海岸和輝氏は赤、白、青の配色で表現し、同社商品企画の森宏之氏は鉛筆と紙という昔ながらの道具でニューヨークの街並みを描いた。商品パッケージはアートブックをイメージしたものに仕上げるこだわりぶりだ。
ポップアップストアの開催に合わせ、インナーウェアのロングセラーシリーズ「GOLD」もシルエットをマイナーチェンジ。「従来製品は体にフィットする形だったが、タイトフィットを着慣れない次世代に向け、ややゆとりをもたせたワイドなシルエットにした」と北見さん。色はホワイトに加え、マイアミビーチの海のブルー、サンタモニカの夕日のイエロー、グランドキャニオンのブラウンの計4色。後染め加工が施され、ムラやアタリのあるヴィンテージ感も楽しめる。
また、150周年を機に新たなパックTシャツも発売。1980年代半ばに米国スーパーマーケットで販売していた当時のデザインをイメージし「GOLD」と同じ糸を使用。「ライトウェイト(薄手)」「ミディアムウェイト(中厚)」「ヘビーウェイト(厚手)」の3種類をそろえた。伸縮性が非常に高く体にフィットする従来のフライス編みではなく、当時のアメリカンスタンダードを意識し、型崩れしにくい天竺編みで仕上げ、北見さんは「薄手はインナーに、中厚と厚手は1枚で着るのもおすすめ」と話す。
ポップアップストアには2日間で多くの人が訪れ、実際に商品を手に取って新しい「B.V.D.」を体感した。「米国のカルチャーが気になる次世代にも、150年の歴史がある米国発祥のブランドを楽しんでもらいたいです」と北見さん。ストアに並んでいた商品は、公式オンラインストアで購入可能だ。