行列が絶えないミステリー書店「謎解き生活」 健康食品大手・わかさ生活が運営する理由

1 minutes reading View : 3
Avatar photo
Haruki Sato
ライフ - 11 May 2026

名古屋・大須の商店街にあるミステリー小説専門店「謎解き生活」が週末に行列を作る人気店となっている。来店客の3分の1から半数が本を購入する高い購入率が特徴で、運営するのは健康食品大手のわかさ生活という異色の組み合わせだ。

階段の手すりから今にも滑り落ちそうなマネキン、たくさんの手が生えている花壇――怪しげな外観に「いったい、何のお店だろう……?」と通行人は足を止める。

興味を持った通行人が一人、また一人と吸い込まれるように店内へ。約1万5000点の国内外ミステリー小説を扱い、週末は1日1500人以上が訪れ、混雑時には入場制限もかける。

謎解き生活はどんな書店なのか。なぜ健康食品会社が書店を運営するのか。副店長の本間絢香氏と、わかさ生活広報の井野佑美氏に話を聞いた。

店内に入ると、2階建て書店を再現した大きなジオラマが目を引く。細部まで作り込まれたミニチュアが店の世界観を伝える。

一般的な書店では小説は出版社ごとに並ぶが、ここでは13のジャンル(ACT)に分けて陳列。来店客が棚を巡りながらミステリー小説の歴史や潮流をたどれる構成だ。

ACT1「名探偵たちの書斎」にはシャーロック・ホームズやアガサ・クリスティなどの古典海外ミステリーを並べる。ACT3「新本格ムーヴメント」では綾辻行人さんら京都大学推理小説研究会出身者の作品を集め、人が死なないミステリーだけの「日常の謎」コーナーも設けた。

ACT8「警察官と私立探偵」は刑事ドラマさながらの「CAUTION」テープが目印。選書やポップ作成まで各ACT担当スタッフが担う。スタッフの多くは書店未経験だが、本好きが集まっている。

「常にカバンには本が入っているような本好きばかりです。自分が読んでいいと思った本を仕入れることもあれば、スタッフ間で『青春小説っぽいミステリーある?』など情報交換をすることも多いですね」と本間氏は話す。

謎解き生活はラインアップ充実に加え、独自イベントも豊富だ。「謎解き×地域活性」の「KAGENAZO」と共同開発した店内回遊型謎解きゲームがある。レジで販売する謎解きキットを購入すれば、封入された手紙とLINEを使い1~2階を巡って挑戦できる。初級編「キンダンの青」と中級編「ユウワクの赤」の2種類だ。

「本を見に来て、謎解きゲームに気付いて参加する方がいたり、謎解きゲーム目的で来店され、帰り際に本を買われたりする方もいます」(本間氏)

また、中身が見えない「ブラインドブック」も人気で月間800冊ほど販売。数個のキーワードをヒントに購入する仕組みだ。「お連れさまにプレゼントされたり、お店に来た記念に買っていかれたりする人が多いです」(本間氏)

メイン客層は30~40代女性、次いで40~50代男性。学校休みの時期には子ども連れ家族も目立つ。児童書や漫画、ライトノベル、ボードゲームも扱うためだ。他県から訪れるミステリーマニアも多く、今年春休みは開店前から行列ができた。

本間氏が「意外だった」と話すのは若年層の来店だ。大須は食べ歩きを楽しむ若者も多く、偶然見つけて入店するケースもある。

「『普段は本を読まない』という高校生が、スタッフに声をかけて『読みやすい小説はどれですか?』と聞いてくれることもあります。この店が本を読むきっかけになっているのがうれしいです」

一般的な書店では本を買わずに退店する客も多いが、謎解き生活では来店者の3分の1から半数が購入する。目的地として訪れる客が多い上に、ブラインドブックなど「思わず買いたくなる仕掛け」が理由と考えられる。

集まるのはミステリー好きの読者だけではない。作家自身も足を運ぶ。愛知県内の作家がオープン直後に来店したほか、他県の作家もSNSで関心を示している。

こうした反響の背景には、外観から内装、本のラインアップまでミステリー小説の世界観を徹底して作り込んでいる点がある。専門書店自体は珍しくないが、ここまでコンセプトを前面に出した書店は多くない。

そして、さらに意外なのは、この書店を運営するのが健康食品のわかさ生活だという点だ。なぜ異業種企業がミステリー小説専門店を手掛けるのか。

広報の井野氏は「当社はサプリメントによって、体の健康をお届けしてきました。それと同時に大切にしているのが、心の健康です。当社の代表が入院した際に、本や漫画などの言葉に元気をもらったことが書店事業を始めるきっかけとなりました」と話した。

書店事業は最初から順調だったわけではない。わかさ生活は2020年、本社のある京都で書店事業をスタート。その後、名古屋でカフェ併設型書店をオープンしたが、多ジャンルを扱う中で来店客がすぐに店を出てしまう状態が続いた。

その状態が3年ほど続き、書店事業を止めようという経営判断が一度下された。その際、代表が店舗スタッフと話し、「もっと本のジャンルを絞れば売り上げが伸びるのではないか」という意見が出た。代表は専門店という形で事業を立て直すことにした。

こうして誕生したのが「謎解き生活」だ。徒歩圏内には絵本専門店「えほん生活」と恋愛小説専門店「初恋♡生活」も展開している。

謎解き生活のコンセプトは立地から生まれた。元宝石店だった建物のミステリアスな雰囲気と、大須が謎解きゲーム会社の集まる街であることからミステリー小説専門店に決まった。オープン当初の本のセレクトは京都の協力会社に依頼し、コンセプトだけでなくラインアップにもこだわった。

2025年10月にオープンし、半年も経たないうちに行列ができる書店となった。

謎解き生活、えほん生活、初恋♡生活の3店舗は隣駅や徒歩で行き来できる距離にある。在庫不足や人手不足時に連携できるほか、3店舗を巡る謎解きイベントも定期的に開催し連携を深めている。

書店事業では、わかさ生活の色を前面に出しすぎないようにしている。一方、レジ横にサプリメントやキャラクターグッズを並べ、来店客が自然に興味を持つ導線を作っている。

「本を読むと目が疲れるから、ブルーベリーのサプリを置いているのかな」「このキャラクター、見たことあるけど何だっけ?」と気になった来店客が自ら調べるうちに、わかさ生活が運営企業だと知るケースも多い。相手から興味を持たれる形で自然なブランディングにつなげている。

本が売れない時代といわれて久しい。それでも謎解き生活には「次はどんな本と出合えるのだろう」という期待を抱いた人たちが集まる。本を並べるだけでなく、空間、体験、街との回遊性まで含めて「物語の世界」を作り込む。わかさ生活が手掛ける書店事業は、リアル書店の新たな可能性を示しているのかもしれない。

編集部注:この記事はAIを使用して作成されており、産経新聞の記事を元に、内容を変更せずにリライトしたものです。
Share Copied