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高市早苗政権が日本維新の会と協力して掲げる「現役世代の社会保険料負担引き下げ」は、一見すると働く世代の手取り増加につながる魅力的な政策に映る。しかし、その影で医療や介護の現場では患者や利用者の負担増が着実に進められようとしている。手取り増という美名の背後で、社会保障の基盤が弱体化する危険性について、十分な議論がなされているとは言い難い。
社会保険料の引き下げは、財源を確保するためには他の部分での負担増が必要となる。具体的には、医療機関での窓口負担の増額や、高齢者の自己負担割合の見直しなどが検討されている。これらは現役世代の負担を減らす一方で、病気や介護が必要な高齢者や患者により重い負担を強いることになる。
医療現場からは、患者の受診抑制や治療中断を懸念する声が上がっている。例えば、ある病院の医師は「自己負担が増えれば、必要な受診を諦める患者が増え、結果的に重症化を招く恐れがある」と指摘する。介護施設でも、利用者のサービス利用が減少し、家族の介護負担が増える可能性が指摘されている。
専門家の中には、社会保険料の引き下げは短期的な手取り増加効果をもたらすものの、長期的には国民皆保険制度の持続可能性を損なうと警鐘を鳴らす意見もある。医療保険財政の悪化は、将来の保険料のさらなる引き上げや給付の縮小につながりかねない。
現役世代の負担軽減は重要な課題であるが、それが医療や介護の質を低下させ、結果的に国民全体の不利益になるのであれば本末転倒である。政策の導入に先立って、負担と給付のバランスについて国民的な合意形成が必要不可欠であり、拙速な決定は避けるべきである。