
2026年度から名称が変更された「デジタル化・AI導入補助金2026」(旧IT導入補助金)の申請受付が3月30日に始まった。中小企業の生産性向上を目的に、業務効率化やDX推進、サイバーセキュリティ対策、インボイス対応などのITツール導入を支援する制度だ。専門家は早期申請の重要性を強調しており、内田洋行の木口孝司氏(事業企画部)は「予算上限があるため申請増加に伴い審査が厳格化し、早い申請ほど採択されやすい」と指摘する。本稿では採択率9割を達成する内田洋行への取材を基に、通る申請と落ちる申請の差を解説する。
補助金には5つの申請枠があり、2025年度とほぼ同じ内容だが「複数社連携IT導入枠」は「複数社連携デジタル化・AI導入枠」に名称変更された。最も申請が多いのは「インボイス枠」のインボイス対応類型で、2025年度は5万6029件中2万5900件が採択(採択率46.2%)された。次いで「通常枠」が2万3672件中8936件採択(同37.7%)で、多くの中小企業はこの2枠が中心となる。
小規模事業者は一部の枠で優遇措置を受けられる。例えばインボイス枠の補助額50万円以下では補助率が5分の4(通常は4分の3)、セキュリティ対策推進枠では3分の2(通常は2分の1)となる。補助対象はソフトウェア購入費やクラウド利用料のほか、PCやタブレット、レジ、券売機などのハードウェアも含まれる。
採択率を高める加点制度も重要だ。通常枠で補助率3分の2の適用を希望する場合、最低賃金以上の賃金要件を満たす必要がある。この要件は他の申請枠でも加点項目として扱われるため、事前に対応しておくことが望ましい。また、書類準備や社内ルール見直しも申請前に徹底すべきだ。
なお本補助金は申請受付直前に内容が確定したため、今後も細部が変更される可能性がある。申請前には必ず最新の公募要領や交付規定を確認することが重要だ。後編では実務上の落とし穴や申請フローの注意点を詳しく解説する。
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