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自己分析の本を読み、診断ツールを試し、学生時代を振り返る。それでも「自分の強みが分からない」「志望動機がまとまらない」と悩み続ける学生は少なくない。
もちろん、自己分析は就職活動の土台である。自分がどのような経験を積み、何を大切にしてきたのかを整理しなければ、自分らしい自己PRや志望動機は生まれない。しかし、内定を次々と獲得する学生ほど、自己分析だけに時間をかけ続けることはないという事実がある。
彼らが繰り返しているのは、「自己分析」ではなく「自己修正」だ。自己分析は、自分を知る作業である。一方、自己修正は、自分をより正確に、より伝わる形へと磨き続ける作業だ。この二つは似ているようで、役割が大きく異なる。
例えば、自己分析を通して「私は課題解決力があります」と整理できたとする。しかし、面接でそのように伝えても、面接官から思うような反応が得られないことがある。エピソードが抽象的だったのかもしれないし、結論より先に説明が長くなってしまったのかもしれない。あるいは、企業が知りたい視点と少しずれていた可能性もある。
ここで必要なのは、「もっと自己分析をしよう」と考えることではない。「どこが伝わらなかったのか」「どう伝えれば相手に理解してもらえるのか」を振り返り、次の選考で改善することである。これが自己修正だ。
実際、就職活動で大きく成長する学生には共通点がある。面接が終わるたびに、「受かったか、落ちたか」だけを気にするのではなく、自分の受け答えを冷静に振り返っている。質問の意図を正しく理解できていただろうか。自己PRは具体的だっただろうか。面接官が興味を示した場面はどこだったか。逆に、話が長くなった部分はなかっただろうか。
こうした振り返りを通じて、一つずつ改善を積み重ねている。自己PRの順番を変える学生もいる。エピソードをより具体的なものへ修正する学生もいる。志望動機を企業ごとに見直す学生もいる。大きく変える必要はない。小さな修正を繰り返すことで、伝わり方は大きく変わっていくのだ。
一方で、結果がなかなか出ない学生ほど、「まだ自己分析が足りない」と考えがちである。新しい自己分析ツールを試し、本を読み、過去を掘り下げ続ける。しかし、行動や伝え方が変わらなければ、選考結果も変わらない。
就職活動は、自分を証明する場ではない。企業と向き合う中で、自分の強みや課題に気付き、伝え方を磨いていく成長の機会でもある。だからこそ、一度作った自己PRや志望動機を「完成版」と考えないことが大切だ。選考を受けるたびに見直し、改善し続ける学生ほど、自分らしい言葉で語れるようになる。
私がこれまで指導してきた学生の中にも、最初から完璧な自己分析ができていた人はほとんどいない。何度もエントリーシートを書き直し、面接で悔しい思いをし、そのたびに改善を重ねた学生ほど、自分に合った企業との出会いをつかんでいる。
自己分析は、就職活動の出発点である。しかし、内定につながるのは、自己分析で立ち止まる学生ではない。企業と向き合いながら、自分を見つめ直し、学び、修正し続ける学生だ。「自分はどんな人間なのか」を考えることも大切である。しかし、それと同じくらい、「今の自分を、もっと伝わる形にできないか」と問い続けてほしい。その積み重ねこそが、自分自身を成長させ、納得できる就職へとつながる本当の力になるのだ。(「内定塾」講師 齋藤弘透)