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日本の伝統産業を支えてきた創業100年超の老舗企業が、輸出に本格的に乗り出している。「日本ならでは」の歴史と職人技を前面に打ち出しながら、現代のライフスタイルに合ったデザインや機能を取り入れることで、海外の新市場を切り開く動きが広がっている。老舗はこれまで地域密着型の堅実な経営を信条とし、海外進出はリスクが大きく難しいとされてきた。しかし、事業承継を機に経営者が若返り、伝統を守りながらも「革新」とも言うべき国際化へとかじを切る事例が増えている。
「(たんすが売れない)国内のみではじり貧が免れない。このままではつぶれる」。伝統的なたんすで知られる仙台市で、約150年続く老舗「門間箪笥店」(仙台市若林区)を継いだ7代目の門間一泰代表取締役は、海外進出を決断した理由についてこう語る。
門間箪笥店は明治初期の創業以来、東北地方の気候や暮らしに合わせた丈夫で美しいたんすを作り続けてきた。しかし、核家族化や住宅事情の変化により国内のたんす需要は年々減少。このままでは先細りしかねないという危機感から、7代目は伝統の技を活かした海外向け製品の開発に乗り出した。
同社は海外市場に向け、従来の大型たんすにとどまらず、現代の住空間に調和するコンパクトなチェストや収納家具を開発。桐材の持つ調湿機能や職人による組み手の美しさといった伝統的な価値を、英語や現地語の説明資料や動画で丁寧に発信している。展示会への出展や現地のインテリア雑貨店との取引を通じて、ヨーロッパや東南アジアのバイヤーから高い関心を集めているという。
老舗企業にとって海外進出は決して容易な道ではない。言葉や商習慣の違いに加え、品質や納期に対する要求も国内とは異なる。それでも、伝統を単に守るだけでなく、時代の変化に合わせて進化し続けることが、老舗の真の使命だという意識が若い経営者たちの間で広がっている。門間代表取締役は「海外の評価が国内の見直しにもつながる。伝統を未来につなぐため、挑戦を続けたい」と話す。