
5月中旬に北京で行われた米中首脳会談を巡り、トランプ大統領が対中融和に転じたとの見方が広がっている。実際のやりとりでは、習近平主席が優位に立ち、トランプ大統領を追い込む場面が目立った。
例えば、習近平主席は会談で「ツキディデスの罠(わな)」に言及し、米中両国はその罠を克服すべきだと主張した。
ツキディデスの罠とは、ハーバード大学のグレアム・アリソン教授が古代ギリシャの歴史家ツキディデスの「戦史」から着想を得た法則だ。既存覇権国と新興国との間では戦争が起きやすく、平和的な交代は難しいという考え方である。
この罠を克服するとは、戦争なしに覇権の交代や両立を実現することを意味する。
要するに、習主席はトランプ大統領に対し、米国が中国の覇権確立を受け入れるよう迫ったに等しい。
台湾問題でも、本来はトランプ氏が「台湾海峡の平和と安定は維持されるべきだ」と暗に人民解放軍を牽制すべきところ、実際には習主席から「台湾問題を間違って処理すれば両国は衝突して非常に危険な状況になる」と牽制された。
極めつけは、トランプ大統領が台湾への武器売却について習主席と話し合った点だ。
これは1982年のレーガン大統領による「六つの保証」の中の「台湾への武器売却については中国側と事前協議を行わない」という保証を反故にするものだ。さらに、トランプ氏が会談後「私は台湾が独立することを望んでいない」「台湾と米国は9500マイルも離れている」と述べたことから、台湾防衛に消極的で対中融和にかじを切ったとの見方が出てくるのも無理はない。
Google検索で「産経ニュース」を優先表示。ワンクリックで簡単登録