t>

「顔は四角でも味はまろやか」のキャッチフレーズで知られる即席麺「ペヤングソースやきそば」が昨年発売50周年を迎え、製造元のまるか食品などを傘下に持つペヤングホールディングス(HD、群馬県伊勢崎市)のトップが代替わりした。4代目社長に就任した丸橋克守さん(30)がインタビューで創業家としての矜持や目標を語った。2回に分けて掲載する。
昨年10月21日にグループトップに就いたものの、社長の椅子は座りにくいと丸橋氏は打ち明ける。「それまで父(3代目社長の嘉一氏=現相談役、61)が座っていたわけですから」。新社長として一挙手一投足が注目され、常に周りに見られているという。責任感の重みがこれまでと違うとし、「どこかで父に頼っていたし、甘えていた部分もあった。いまは何一つ妥協できない、甘えも許されない環境の中で、どうやってお客さまを増やし、社員を守っていくかを考えています」と語る。群馬県外から訪ねてくれた友人らも裏切れず、プレッシャーを感じているという。
父からは「60歳でもう引退かな」と聞かされていたが、「次はお前だ」とは一切言われなかった。昨年10月7日、ペヤングソースやきそばの記念式典で全社員を集めた席で父が突然「私は社長を退任します」と発言した。社員への感謝の言葉の終盤だった。「ただただびっくりです。全社員がいる中、嫌だなんて言えません」。父からは「社員は『社長はちゃんとやっているのか』と常にお前を見るぞ。絶対にちゃんとやりなさい」と言われた。驚きつつも、昔から社長になる思いがあったため、「よしやってやるぞ」という気持ちも湧き上がったという。
丸橋氏が大学1年のとき、会社が異物混入騒動(平成26年)を起こし、社会問題に発展した。硬式野球部の寮でニュースを知り、すぐに群馬へ帰省。「問題を起こした会社の息子です。何かやらなければいけないと思った」。工場では従業員が懸命に回収作業にあたり、父も工場作業や小売店への謝罪行脚を行っていた。「このとき自覚しました。父が大事にしてきた会社、従業員の方々、その家族を絶対に守らないと駄目なんだと。父のように『守れる人間』になりたい。トップを目指そうと本気で思ったのはそこからです」と振り返る。
「30歳とは結構早いですね」と多くに言われたが、心配はないという。父がサポート役に回り、経営上の悩みには積極的にアドバイスしてくれる。兄(長男の利光氏、32)は代表権を持つ取締役として財務や経理、不動産を管理。義理の兄が取締役で生産、品質管理を担う。創業家内で役割分担ができており、丸橋氏は経営に集中できる環境が整っている。
「社長になるという夢が実現したのですから、今度は50年もの間、皆さんに支持されてきたペヤングソースやきそばをさらに大きく育てたい。ポテンシャルはまだまだあります。食品業界の顔になれるぐらい何か成果を残したい」と意気込む。
平成7年生まれ。群馬県出身。30年に桐蔭横浜大学卒業後、ペヤングホールディングス入社。執行役員経営企画室長兼社長補佐などを経て、令和7年10月から現職。趣味の野球は小学1年から。入社後は社業に専念。プロ野球巨人のファン。