
2022年以降、日本の経常収支に新たな赤字拡大要因が浮上した。それが再保険取引などによる第2次所得収支の赤字急増である。グローバル化や地政学リスク、自然災害の激甚化が背景にあり、保険料の海外流出が円安を促進する構造が注目されている。
再保険とは、保険会社が引き受けたリスクの一部を海外の再保険会社に移転する取引だ。日本は地震や台風など自然災害リスクが高く、再保険料の支払いが巨額に上る。2022年度の第2次所得収支の赤字は過去最大を記録した。
中東情勢の悪化は地政学リスクを一段と高め、海上保険や航空保険などの再保険料を押し上げる。紛争地域を航行する船舶や航空機の保険料が上昇し、その多くが海外の再保険会社に流出する構造だ。
保険料の支払いは外貨準備からドルなどで行われ、結果として円売り・外貨買い圧力となる。経常収支の赤字拡大は為替市場で円安要因として働き、いわゆる「有事の円売り」を強めるメカニズムがある。
専門家は「今後も地政学リスクや気候変動が保険料流出を加速させれば、円安基調が長期化する可能性がある」と指摘する。経常収支の構造変化を踏まえた為替戦略が求められる。